トライアスリートのみなさん、バイクヘルメットはどんなの使っていますか?
ゴリゴリのトライアスロン用モデルでしょうか?
それとも普通のロードバイク用ヘルメットでしょうか?
トライアスロンで使うからと言って必ずしもTT(タイムトライアル)用じゃないといけないということもありません。競技のレベルや快適性、見た目の好みなどに応じていろいろな選択肢があります。
今回はトライアスロンに適したバイクヘルメットについてのお話と、いくつかのおすすめヘルメットの紹介をしてみたいと思います。
トライアスロン用ヘルメットに求められるものとは何か?
個人的にトライアスロン用バイクヘルメットと言って真っ先に思い浮かぶのは、肉抜きのないつるっとした表面と、後頭部が雨しずくのように長く伸びたロングテールのエアロヘルメットです。
最近では後頭部がそれほど長くないショートテールのものが主流になってきているかもしれませんが、レースでエリート選手が着用しているエアロ形状・ロングテール・シールド付きのヘルメットは、エイジグルーパーにとっては羨望の対象です。
トライアスロン用とTT(タイムトライアル)用はほとんど同義で、空力性能を重んじるためベンチレーションホールと呼ばれる通気孔がほとんどなく、「クローズドヘルメット」などとも呼ばれます。
肉抜きがほとんどない分重量が増し、さらにシールドの分も加わるのでだいたい350g前後と、通常のロードバイク用ヘルメットと比べると重くなっています。穴があれば空気抵抗が増すので、空力性能を高めるためにはこうした形状にするしかなく、通気性・軽量性、ひいては快適性とはどうしてもトレードオフの関係になります。
トライアスロン用のヘルメットというのはいろんなものを犠牲にして、空力性能を高めているんですね。
またトライアスロン用のもう一つの特徴は、他のトライアスロン用製品と同じく、トランジションでの利便性を高めているところにあります。ヘルメットにおけるトランジション対策とはすなわち、バックルの付けやすさです。
トライアスロン用のバイクシューズやランシューズのかかとに指をかけられる輪っかが付いているのと同じように、トライアスロン用ヘルメットもトランジションで素早くかぶれるように、バックルがマグネットになっていたりします。
そこまでわずかな時間差を気にするのは実際にはエリートレベルの話であって、一般のトライアスリートにとってははっきり言ってメリットと呼べるほどのものでもないはずです。
しかしせっかくトライアスロンをやっているのだから、トライアスロン専用と銘打った製品を使いたいという心理は、多くのエイジグルーパーに共通したものでは無いでしょうか。
これはエアロ性能にも同じことが言えて、時速○○kmで1時間巡行したら○○秒タイムが縮まると言われても、素人レベルでは大きなメリットとは言えません。
風の通りにくいエアロヘルメットをやせ我慢でつけるか、空冷効果の高いヘルメットで快適に過ごすか、そういった選択肢の話もしていきたいと思います。
トライアスロンに適したヘルメットの種類と特徴
前述したように、トライアスロンに適したヘルメットと言っても、エアロ性能を極限まで追求したモデルから、通気性や軽量性とのバランスを取ったモデルまでいろいろあります。
ここでは「どれだけエアロか」という観点で種類分けをしてみます。
エアロヘルメット(クローズドエアロ)
いわゆるトライアスロン・TT専用ヘルメットというとこれになります。
雨しずくのようなロングテールと、後頭部がそれほど長くないショートテールに分けられます。基本デフォルトでシールドが付いたモデルがほとんどです。
エアロ性能が高い一方でシールド分も含めて重量があり、またベンチレーションもあまりないので通気性は低く夏場などはかなり暑く感じます。
セミエアロヘルメット
ベンチレーション vs エアロダイナミクスのバランスを取ったヘルメットです。
多少の空力性能を犠牲にして通気孔をもつことで、ヘルメット内を空気が通り抜けるようになって快適性もある程度は確保されてきます。
エアロ性能の高めのロード用ヘルメット
トライアスロン用やTT用と銘打ってはいないものの、ある程度エアロを意識した設計をしたヘルメットを指しています。
セミエアロよりもさらにベンチレーションが増えて、ほとんど普通のロードバイク用ヘルメットと同じような感覚で使えるものが多いです。
ただし通気性・軽量性は良くなる一方で空気抵抗は増すことになるので、エアロ効果は限定的です。
トライアスロンで使用したいおすすめバイクヘルメット紹介
ここまでに触れたエアロ性能とベンチレーションのバランスを意識しながら、トライアスロンに適したバイクヘルメットを紹介していきたいと思います。
エアロヘルメットのおすすめ
エアロ性能を可能な限り高めたクローズドエアロヘルメットです。
KASK(カスク) MISTRAL(ミストラル)
KASKのロングテールのTTモデルヘルメット。
重量はMサイズ340gと、クローズドエアロとしてはほぼ平均的な数値です。
オーストラリアのトラック競技ナショナルチームと共同開発され、風洞実験を繰り返して高められた抜群の空力性能が特徴です。
KASK(カスク) BAMBINO PRO(バンビーノ プロ)
こちらはKASKのショートテールTTモデル。最近のトレンド的にはショートテールヘルメットの方が人気のようですね。
こちらはTeam SKYと共同開発。MISTRALに負けず劣らず高いエアロ性能を持ち、重量も同じ340gです。
“IN-MOULDING TECHNOLOGY”という衝撃吸収システムで安全性も折り紙付き。丸みを帯びた大きなシールドが独特です。
MET(メット) DRONE HES(ドローン ヘス)
いかにもエアロダイナミクスを追求しました、という形状のTT/トライアスロン用のヘルメット。
後部にポリカーボネート性のパーツが使われ、落車時の衝撃を分散させるHESテクノロジーを搭載。
ハイレベルなトライアスリート向きのヘルメットです。
GIRO(ジロ) Aerohead Mips(エアロヘッド ミップス)
空気抵抗を最小限に保ちつつ、多少のベンチレーションもあって冷却性能にも配慮したGIROのTT/トライアスロンモデル。
アイシールドが横に長く、左右の視野が広いことも特徴の1つです。
またMIPS(多方向衝撃保護システム)を採用しており、高速転倒時の安全性にも配慮しています。
MIPS(ミップス)とは?-ロードバイクなどの自転車用ヘルメットに搭載されている安全システムについて | triathlista
OGK Kabuto(オージーケーカブト) AERO-R1CVTR(エアロR1CVTR)
コスパに優れ、カラーバリエーションも豊富で人気の高いOGK KabutoのAEROシリーズ。
その中でもR1CVTRはエアロ性能が高く、バックルがマグネットで着脱できるトライアスロンに特化したモデルです。
ポリカーボネート性のオーバーシェルは取り外し可能で、真夏のトレーニングでは外して涼しく、レースでは取り付けて空気抵抗を減らす、という選択が可能になっています。
エリート選手というより、どちらかというと初級~中級者でも手に取りやすい、エアロヘルメット入門編といったところでしょうか。
LAZER(レーザー) Tardiz 2 (ターディズ2)
トライアスロン用に設計され、雨しずく形状でエアロダイナミックでありながら、前頭部のベンチレーションと後頭部のエアポケットでヘルメット内を少しでも快適にすることを狙っています。
また大きな特徴の1つとして、頭頂部にAquabentと呼ばれるハイドレーションポートがあり、レースやトレーニング中にここからボトルの水を入れることで瞬時に冷却することができます。
エアロヘルメットとしては少数派の、アイシールドが付いていないモデルです。
セミエアロヘルメットのおすすめ
エアロヘルメットとの境目がいまいちはっきりしないところはありますが、エアロに比べるとベンチレーションホールが大きくなって空気が通りやすくなっているモデルです。
KASK(カスク) UTOPIA(ユートピア)
TT/トライアスロン専用モデルではないものの、熱発散とエアロダイナミクスのバランスを取ったヘルメットです。
近しいグレードのKASK INFINITYというモデルもあり、そちらはヘルメット上部に片手で開閉できる可動式エアベントカバーがあるのが特徴です。
ユートピアは可動式カバーがなく常時エアベントのあるタイプですが、その分軽いので、エアロ・快適性・軽量性の3拍子が揃ったヘルメットと言えます。
GIRO(ジロ) Vanquish MIPS AF(バンキッシュ ミップス アジアンフィット)
GIROの公式ウェブサイトで「GIRO史上究極のエアロヘルメット」と謳われているのがVanquish Mipsです。
前頭部の4か所の通気口から、後頭部の6か所の排気口にスムースに空気が流れる設計になっていて、エアロヘルメットでありながら高い空冷効果を持っています。
シールド付きのヘルメットとしては比較的ソフトな見た目なので、初心者にとっても比較的抵抗なくかぶれるのではないでしょうか。
LAZER(レーザー) Bullet 2.0 AF (バレット2.0 アジアンフィット)
LAZERのBullet2.0は、前頭部に大きなスライド機構があり、エアロモードとベンチレーションモードを切り替えられるのが最大の特徴です。
アイシールドとLEDライトは標準装備。日本人の頭にもフィットしやすいアジアンフィットモデル。
MET(メット) MANTA HES(マンタ ヘス)
製品名のマンタは当然その外観から来ているのでしょう。
リヴァーレという同ブランドのロードヘルメットをベースにしてベンチレーションを減らしたモデルで、トライアスロンにも対応すべくエアロ性能を高めています。
エアロヘルメットとしてはかなりの軽量設計、HESテクノロジー採用で強度は高く、それでいて価格は低めということでかなりおすすめのヘルメットです。
エアロ性能の高めなロード用ヘルメットのおすすめ
TT用やトライアスロン用でもなく、エアロヘルメットというカテゴリーではないものの、ロードバイク用ヘルメットの中ではエアロ性能が高めでトライアスロンにも適しているモデルを紹介します。
KASK(カスク) PROTONE(プロトーネ)
2014年のツール・ド・フランスに合わせて発表されたということで、トライアスロンというよりはロードレースを念頭に設計されてはいると思われます。
ベンチレーションホールが大きく空気がたくさん抜けていくロードヘルメットですが、ちゃんとエアロダイナミクスも計算されていて、ブランドのウェブサイトによると「通気口の空いたヘルメットの中で最も抵抗係数が低いものの一つ」ということです。
GIRO(ジロ) AETHER SPHERICAL AF(イーサー スフェリカル アジアンフィット)
GIROのAETHER SPHERICALも、ロード用ヘルメットながら風洞実験を繰り返し空気抵抗を抑えたデザインです。
また世界初MIPS SPHERICALを搭載した次世代ヘルメットであることも特徴です。
衝突時の回転衝撃を軽減することがMIPS安全システムの目的ですが、MIPS Sphericalはシェルを2分割することで快適性やエアベント性能を妨げることなく、さらに安全性を向上させています。
デザインと安全性で高レベルなヘルメットですが、価格も高めなのが唯一の難点でしょうか。
OGK Kabuto(オージーケーカブト) AERO-V1 (エアロV1)
OGK KabutoのエアロシリーズにはR1とV1がありますが、R1がエアロ重視、V1はエアロと空冷の両立を目指したモデルになっています。
またR1やV1の後に「CV」と付くモデルにはオーバーシェルが付いています。
目的に合わせて選びやすく、カラーも豊富で、そして他ブランドの同グレードと比べて安い。コスパを重視するならやはりOGK Kabutoが頭ひとつ抜けている感じがします。
エアロ設計ながら空冷も最大限にほしい、という人におすすめなのがこのAERO-V1です。
LAZER(レーザー) Genesis(ジェネシス)
LAZER GenesisはSサイズで195gという、LAZER史上最軽量のヘルメットです。
ヘルメット形状自体はエアロではないのですが、LAZERエアロシェルに対応しているので、オプションをつけることでエアロヘルメットに早変わりします。
トライアスロン用のバイクヘルメットの特徴とおすすめヘルメットーまとめ
以上、トライアスロンに適したヘルメットについての説明と、おすすめヘルメット紹介でした。
今回便宜的に「エアロ」「セミエアロ」「エアロ性能の高いロードヘルメット」という風に区別しましたが、明確な指標があってカテゴライズされているわけではないのでご了承ください。
KASKやGIRO、MET 、OGA Kabuto、LAZERなどの主要ヘルメットメーカーから14のヘルメットを紹介しました。
どのブランドもTT/トライアスロン用に特化した設計のものから、エアロと空冷のバランスを取ったモデルなど、目的に合わせて選べるように開発してくれています。
いろいろと見比べて、じっくり選んでみてください。