プルブイをスイム練習に取り入れる効果とデメリット【おすすめプルブイ紹介付き】

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プルブイは、水泳練習用の補助具の1種で、下半身を浮かせるためのものです。

似た道具としてビート板のほうがメジャーですが、ビート板は通常手で持って使うのに対し、プルブイは太ももやふくらはぎに挟んで使います。

 

ここでは、

  • プルブイを使用する目的
  • メリットとデメリット
  • プルブイの種類

などについてお話ししたいと思います。

 

またプルブイは競泳スイマーだけでなく、多くのトライアスリートが練習に取り入れています。

トライアスロンのスイム練習におけるプルブイの活用方法についても触れたいと思います。

 

 

プルブイとは? そしてプルブイの目的と効果とは?

プルブイを使用する目的は、クロールにおいて、

  • 上半身の正しいフォームを身に付ける
  • 腕の筋力を強化する

ことです。

どういうことか、以下で説明します。

 

プールに下向きの状態で体を浮かせようとしても、なかなか水面と平行にはなりません。

普通はどうしても下半身のほうが沈んでしまいます。

これは、人間の体における浮力の中心位置が、重力が働く重心位置よりも上半身寄りにあるためです。

そのため上半身のほうが浮力をより大きく受け、下半身のほうが重力をより大きく受けます。

 

クロールをする際、腕を動かして前方への推進力を得る一方で、こように下半身が沈んだ状態だと、水の抵抗が大きく、ブレーキとなってしまいます。

そこで、下半身が沈んだ状態を、より水平に近い状態に持っていくためにキック(バタ足)の動作をします

キックは前方への推進力にもなりえますが、腕のプル・プッシュの動きに比べると推進力としては小さい(全体の推進力のうちキックは10~20%程度)です。

 

プルブイを足に挟むことで、下半身側の浮力が増しキックによって体を水平にするのと同じような状態を作ることができます。

なぜキックを打つ代わりにプルブイを使うかというと、

  • より上半身の動きに神経を集中できる
  • キックを打つことによる疲労をなくし、より長く練習できる

という利点があるからです。

 

実際やってみると腕だけでなく、体幹の安定性や、腹斜筋や肩甲骨の使い方など、上半身の動かし方に意識を集することができます

キックありで泳ぐ場合、体が左右にぶれるのを無意識にキックでバランスを取っています。

ところがプルブイを使ってキックをやめてみると、最初体が左右にくねくね動いてしまってまっすぐに泳ぐのが意外と難しかったりします。

体幹や腹筋を正しく使えるようになると、キック無しでも体が左右にぶれなくなります。

この点もプルブイを使った練習で得られる効果の一つと言えます。

 

 

プルブイを使用したスイム練習のデメリット

プルブイを使用した泳ぎはとても快適に感じる人が多いでしょう。

普通に泳いだら100mしか泳げないのに、プルブイをつけるといくらでも泳げる、という人もいるようです。

ただ、プルブイを使うことで、脚を使わずとも水中姿勢を保てる状態に慣れてしまうと、プルブイなしで泳ぐのがきつくなってしまいます。

これは、プルブイを使用してしばらく(数百メートルとか)泳いだ後、プルブイなしで泳いでみるだけで実感できるでしょう。

これを「プルブイ癖がつく」と言います。

 

先に触れたとおり、プルブイの本来の使用用途は「上半身の部分練習」です。

ビート板を使ったキックの練習と似たようなものです。

プルブイが楽だからと言って、そればっかりやっているとトータルでマイナス効果になってしまう恐れもあります。

 

 

トライアスリートにとってプルブイを使用したトレーニングのメリットとは?

ではプルブイを使用したトレーニングは、トライアスロンの練習として向いているのでしょうか?

 

人間の体は一般的に下半身のほうが沈む傾向にありますが、バイクやランで足を鍛えているトライアスリートは下半身が筋肉で重くなっているので、なおさらその傾向が強くなります。

またトライアスロンのスイムが、プールでの水泳ともっとも違う点は、多くの大会がオープンウォーターで行われ、ウェットスーツを着用して泳ぐということです(一部そうでない大会もあります)。

 

ウェットスーツを着用すると浮力が増し、あまりキックを打たなくても容易に体を水平な状態に持っていくことができます。

さらに海での大会となると、塩分の高い海水による浮力の増大も手伝います。

プールでプルブイを使って水中姿勢を水平にするのは、ウェットスーツを着用して泳ぐのと似たような状態を作ることになります。

 

つまり、プルブイを使用することで、レース本番により近い条件での練習ができるということになります。

前述したように推進力としてのキックの役割はそう大きくないので、キックの練習の必要性そのものが、トライアスリートにとっては他のスイマーに比べて低いと言っても過言ではないでしょう。

 

トライアスロンでは特に、バイクやランのために脚を残しておきたいので、スイムでのキックは頑張りすぎないのが定石です。

海でのトレーニングや、ウェットスーツ着用でのトレーニングはなかなかできないので、プルブイはトライアスリートにとってこそ利用価値の高い道具だと思います。

ただ言うまでもなく、ウェットスーツ着用禁止の大会に出場する場合、プルブイでの練習ばかりしていると痛い目に遭うので注意しましょう。

 

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プルブイの種類と使い方

プルブイにも種類があるので、ポピュラーなブランドと共にここで紹介します。

 

ひょうたん型:ASICS(アシックス)など

もっとも一般的と言うか、ジムのプールや市営プールなどでも、ビート板の隣に比較的よく置いてあるのがこのタイプですね。

断面が数字の「8」のようになっていて、上下で微妙に大きさが違います。

どっちを上にするかで多少浮力が変わってくるので、自分に合ったほうで使います。

浮力は弱めで、人によってはキックを全くしないと下半身が沈みます。2つ付けて泳ぐ人も中にはいるようですね。

 

ビート板兼用タイプ:MIZUNO(ミズノ)など

このタイプを使っている人もプールでよく見かけます。

広がっている方が脚の付け根側にくるように装着します。

手にもってビート板としても使えるので重宝します。

脚の広い範囲に浮力がかかるため、比較的安定した泳ぎがしやすい設計になっています。

ただO脚の人は注意が必要で、使っているうちに脚から外れてしまう、という人も中にはいるようです。

 

エリートプルブイ:SPEED(スピード)など

この形状のものをエリートプルブイと呼ぶようですね。

私はこのタイプを使っています。

先に挙げた2つのプルブイと比べても、かなり大きな浮力が得られます

体感的にはひょうたん型のものに比べて2倍くらいの浮力を感じます(あくまで個人の感覚ですが)。

実際私はこのタイプを長く使っていて、体幹を使って泳ぐ感覚を得られていると感じるので、私が一番おすすめしたいのはこのタイプのものです。

 

 

プルブイは目的を理解して効果的に使えばメリット大

さて、プルブイの使用目的、メリット・デメリット、プルブイの種類などについて整理しました。

プルブイの本来の目的は、下半身を浮かせて上半身に集中することによって、

  • 上半身の正しいフォームを身に付ける
  • 腕の筋力を強化する

ことでした。

 

レースでウェットスーツから浮力を得るトライアスロンでは、本番を想定したトレーニングを積めることも大きなメリットです。

気をつけたいのは「プルブイ癖」です。

プルブイばかりに頼った練習をしていると、プルブイなしで泳ぐのが難しくなってしまいます。

 

何のためにプルブイを使っているのかを意識しつつ、効果的に練習に取り入れてみてください。