トライアスロンのスイムパートには、屋内プールでの競泳とは異なるところがいくつもあります。
基本的に自然の中で行われるので、オープンウォータースイム(OWS)に特化したテクニックや知識、そしてウェアやゴーグルなどはそれに適したものが必要になってきます。
トライアスロンのスイムトレーニングについては、長く楽に泳げることをテーマに下記の記事を以前書きました。
今回は、レース本番に強くなるためのスイムトレーニングについて、まとめていきたいと思います。
ヘッドアップスイムの練習
まず重要なのが、このヘッドアップです。
プールで泳いでいるだけだと、「まっすぐ泳ぐ」ことの難しさってあまり実感ないですよね?
波や潮の流れがある海ではもちろん、流れのない湖などでも、まっすぐ泳ぐのはびっくりするほど難しいものです。
ヘッドアップの練習なしでオープンウォーターに出てしまうと、とんでもない回り道をしてしまうかもしれないので、ぜひとも習得しましょう。
詳しくはこちらの記事から。
レースでのバトルを切り抜けるための練習
トライアスロンのスイムにおいて悪名高いのがバトルです。
スイムスタートは陸からスタートするケースと、水に入ってからのフローティングスタートがあります。
どちらにしても大勢がひしめく序盤は、人が密集する中をぶつかりながら泳ぐ時間帯が発生します。
レースならではの光景なので、これはこれでトライアスロンという競技に欠かせない要素だとは思いますが、タイムをロスしたり痛いおもいをするのは笑ってばかりもいられませんね。
バトルを避けるコース取りをするのが一つの対策ではありますが、あまり大回りをすればもちろんタイムをロスしますし、大勢が泳ぐことでできる水流を利用できないのもデメリットになります。
つまり、人がいないところを泳げばいいという単純なものでもないのです。
では他に対策は無いでしょうか?
取るべき手立てなんかないと思いがちですが、できることはちゃんとあります。
バトル対策1.左右で息継ぎをできるようにしておく
バトルの泳ぎ方うんぬんの前に、周囲の状況を確認できることが重要です。
そのためのヘッドアップスイムでもありますが、もう一つ対策として、左右どちらでも息継ぎをできるようにしておくと、本番でちょっとしたアドバンテージになったりします。
左右で息継ぎをすることで周りの状況を把握するのにも役立ちますし、また波の方向などによって息継ぎを切り替えられるのも強みになります。
バトル対策2.障害物をよける練習をしておく
障害物というか人ですが、意図的に蛇行して泳ぐようなテクニックも必要です。
また、周りの状況に合わせてペースを下げたり上げたり、急停止してからまた泳ぎだしたりという、臨機応変さが求められます。
ひとつ、プールのフリーコースで練習するという方法もあります。
周りの人に迷惑をかけないという事が絶対条件ですが、コースロープで仕切られたコースではなく、フリーなエリアで人を避けたり、止まったりしながら泳ぐのは、OWSの状況に近いものではあります。
また、OWSの練習会などに参加してみるのも良いと思います。
プルブイを使用したトレーニング
プールでの練習と本番との大きな違いの一つに、ウェットスーツの着用があります(そうでない大会もありますが)。
ウェットスーツを着ると全身に浮力が得られ、水の抵抗を受けにくくなるため基本的にタイムは上がります。
一方で、浮力を得た分ローリング方向に体が不安定になりがちで、ストロークをすると普段以上に体がロールしてしまったりします。
ロール姿勢をコントロールできていないと、ストロークの力がうまく伝わらなかったり、状態がくねくねして水の抵抗を生んでしまったりします。
この点も事前に慣れておく必要があります。
疑似的にウェットスーツ着用時に近い状態を作る方法のひとつとして、プルブイを使用する方法があります。
プルブイは下半身に浮力を与えるだけでなく、泳力の向上にも大きく寄与するため、トレーニングに取り込む効果は大きいです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
ウェットスーツを着ての練習
とはいえやっぱりできればウェットスーツを着ての練習もしておきたいものですね。
ウェットスーツを陸上での試着だけで本番にのぞむ方も少なくないと思いますが、やはり水に入ってみて、そして泳いでみて初めて分かることもあります。
例えば、陸上ではぴったりのサイズだと思ったのに、実際水に入って泳いでみたらなんだかダブついてフィットしない、なんてこともあります。
あるいは、肩まわりが想像以上に窮屈で異常に疲れる、なんてこともあるでしょう。
でも近くに泳げる海や湖なんてないし、プールはウェットスーツ禁止だっていうし…という方。
実際に公営・私営の5つのプール施設に電話して「プールでウェットスーツを着用していいか」を確認してみました。
結果はちょっと意外なものでした。
詳しくはこちら。
オープンウォーターでの練習
最後はやっぱり本番にもっとも近い状態での練習、オープンウォーターでの泳ぎをしておきたいところですね。
と言ってもなかなかできるものではないので、すでにレースの経験をお持ちの方は無理にする必要はないでしょう。
初心者で初めてのレースであれば、せめて1回だけでもオープンウォーターで泳いでおきたほうが良いでしょう。
できればトランジットのシミュレーションまでできたら最高ですね。
本番で失敗しないウェアと道具を選ぶ
さて、レースに失敗しないための準備について整理してきましたが、準備と言えばウェアなどの道具にも抜かりがないようにしておきたいですね。
ゴーグルに水が入ってきたり、曇ったりまぶしかったり、ウェットスーツのサイズが合っていなかったりなんてことは避けたいところ。
道具の準備も万全にしておきましょう。
【おすすめスイムゴーグル】
【ウェットスーツの選び方】
【トライウェアの選び方】
本番を想定したスイム練習をしてレースに備えましょう
以上、今回はレース本番に強くなるためのスイムトレーニングについてでした。
要点を整理します。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。