ロードバイクとトライアスロンバイクがあるように、サドルにもロード用とトライアスロン用というカテゴリーがあります。
サドルメーカ各社が「トライアスロンモデル」とか「TTモデル」とか銘打って売り出しているわけですが、では普通のロードバイク用サドルと何が違うのでしょうか?
この記事では「トライアスロンに適したサドルとは何か」に触れるとともに、トライアスロン向きのサドルを厳選して5点紹介していきます。
トライアスロンに向いているバイクサドルとは?
出典:Amazon.co.jp
トライアスロンに適したサドルとは何か。
トライアスロンモデルと呼ばれるサドルに見られる傾向を、トライアスロンの特徴を踏まえて3つのポイントから簡潔に述べたいと思います。
①DHバーを使った前傾ポジション
トライアスロンのバイクの大きな特徴は、DHバーを握った前傾ポジションにあります。
サドルのノーズ部分に腰をおく、いわゆる「前乗り」のエアロポジションが主流です。
そのためトライアスロンではショートノーズサドルがよく好まれます。
ショートノーズサドルは前乗りによる圧迫を軽減するために太目のノーズで、尿道のあたる部分は穴あきや溝が必須となっています。
また前乗りでも安定したペダリングができるように、後部の座面は比較的広い方が良いとされます。
②長時間走行時のポジション変更
トライアスロンモデル=トライアスロンのレース出場を想定しているので、ミドルやロングも含めて考えるとかなり長時間漕ぎ続けることになります。
ショートノーズサドルだと前後にポジション変更できる範囲が限られますが、それでも少しでも前後の自由度を保つために座面がフラットに設計されたものが多いです。
③トライウェアはパッドが薄い
トライアスロンのレースではトライウェアを着用する選手が多いですが、トライウェアはそのままスイムをするのでパッドが薄めになっています。
ウェアのパッドが薄い分を補うため、トライアスロン用サドルはパッドが厚めになっているものが多いです。
特にロングではペダリングのパフォーマンスよりもパッドの快適性を重視する、という人も多いのではないでしょうか。
おすすめトライアスロンサドル5選
では以下、トライアスロンモデルのサドルを紹介していきます。
ism(アイエスエム) PN3.0
トライアスロンのサドルと言えば、ismなしで語ることはできません。
コナのアイアンマンチャンピオンシップで圧倒的な使用率を誇り、そのシェアはなんと2013年から7年間もトップをキープしています。
その事実が、現時点でismがトライアスロンサドル界の頂点に君臨していることを如実に物語っています。
ismがトライアスリートに絶対的な人気を誇るようになった背景には、ショートノーズサドルがあります。
今ではトライアスロンのみならずロードでも認知度が上がってきていますが、そのショートノーズサドルの先駆けとなったのがismでもあるのです。
ismがTTやトライアスロンの深い前傾ポジションに対する解決策を考案したのが、ショートノーズの起源と言われています。
さて前置きが長くなりましたが、PN3.0です。
PNは「Performance Narrow」の略。
「Narrow=狭い」ということで、PNシリーズは横幅が細身でペダリングを妨げにくい、レース向きのモデルになっています。
このPN3.0はいくつかあるPNモデルの中では横幅が120㎜と若干広めで安定感もあり、パッドも30シリーズというやや厚めのものになっています。
したがって、パフォーマンスを重視したモデルでありながら、安定感や快適性も考慮したとてもバランスの良いサドルであると言えます。
トライアスリート支持率No1ブランドにおけるバランスモデルということで、堂々のNo1おすすめサドルです。ismにはPN3にもトライアスロン向きのサドルがいくつかあるので、自分に合ったものを探してみても良いかもしれません。
PROLOGO ZERO TRI (プロロゴ ゼロ トライ)
プロロゴのトライアスロンモデル。
中央は穴あきでこそないものの、広範囲に溝があり長時間乗るときの圧迫を軽減します。
ZEROシリーズはショートノーズとノーマルが混在していますが、このモデルはショートノーズです。
トライアスロンでの前乗りポジションを想定して、全長を短く、また先端付近の幅が広めに作られています。
ismは少し高価格帯ですが、Prologo Zeroはリーズナブルでかつデザイン性も高いです。できるだけコストを抑えておしゃれなトライアスロンサドルが欲しいという方には一択のサドルと言ってもいいでしょう。
比較は難しいですが、あえて言うならおすすめNo2です。
さらにプロロゴには「CPC」という表面加工のテクノロジーがあり、ZERO TRIにもこれを取り入れたCPCモデルがあります。
CPC加工が施されたサドルは従来のものよりもグリップ力に優れ、高ケイデンスで漕いでもぶれずに安定したペダリングができるように設計されています。
Shimano Pro (シマノプロ) エアロフューエル サドル
シマノプロのトライアスロンモデルです。
(2024年3月アップデート)
残念ながら、エアロフューエルは現在生産されておらず、新品での取り扱いはほとんどされていません。
このサイトでもおすすめトライアスロンサドルとして紹介していましたが、残念です。以下紹介文は残しますが、商品リンク等は削除します。
全長×幅のサイズや上から見た形状は、ショートノーズサドルとしてはいたって平均的です。
プロの代表するショートモデル「ステルス」と比べると、真横から見た形状がだいぶ違っています。
緩やかにウェーブしているステルスに対して、エアロフューエルはフラットな形状をしており、これもトライアスロンモデルによくみられる傾向です。
先端の形状はステルスより厚みがある印象で、前傾姿勢での圧迫をより軽減させる狙いがあるものと思われます。
右頬の矢印マークもおしゃれで、近年のシマノってデザイン的にかなりかっこよくなったように思います。
SELLE SMP (セラ エスエムピー) Tシリーズ
Selle SMPと言えば、本来サドル表面が独特の流線型をしていて、お尻にしっかりフィットするエルゴノミックなデザインが特徴でした。
それがトライアスロンモデルとなると全く違ったものを出してくるんですね。
言い換えれば、トライアスロンで求められるものがそれだけロードと異なるのだと言えるのかもしれません。
TシリーズはSelle SMPのトライアスロンモデルです。
基本的な形状としては、横から見ると表面がほぼフラットで、長時間乗った時の前後移動がある程度できるようになっています。
パッドは厚めで、ややぼてっとした印象がありますが、それだけに圧迫感が少なく長距離も安心して乗ることができそうです。ただ個人的にはSelle SMPは流線形のサドルが売りだと思っているので、価格も比較的高価な部類に入ることを考えても、ismやPrologoの方を推したい気がします。
fizik MISTICA (フィジーク ミスティカ)forTRI
老舗サドルメーカfizikの最新トライアスロンモデルです。
何とも思い切ったデザインではないでしょうか。
ショートノーズとかいうよりも、ノーズの先端をぶった切ったような形状。
ノーズレスサドルなどとも言うようですが、まさにそのまんまですね。
全長は24cmとショートの中でもかなり短い方で、そのためかかなり軽量でもあります。
トライアスロンモデルの中には、トランジッションでバイクラックにひっかけやすいようにフック状になったものも多いですが、ミスティカも先端がフックになっています。
また後部にはボトルケージを2個取り付けられる専用のアタッチメント(別売り)がつけられるようになっているなど、トライアスリートの物欲をくすぐってくれます。
個性派トライアスリートにおすすめですね。
fizikのMISTIKAにはカーボンレールと金属のKiumレールがあります。
本来カーボンの方が高値のはずですが、市場の需要と供給の兼ね合いか、Kiumの方が高く売られていたりするようです。価格は変動するため、販売サイトでご確認ください。
トライアスロン用サドルについて-まとめ
最後にあらためて、トライアスロンモデルとされるサドルの特徴を簡単にまとめるとこのようになります。
- 中央の穴あきや溝は必須
- ノーズはショート&ワイドが定番
- 座面はわりとフラットなものが多い
- パッドはロードと比べて厚め
こうしたトライアスロンモデルの中から、おすすめの5つのサドルを紹介しました。
とはいえサドルは一期一会、誰かに合うものが自分にも合うとは限りません。
トライ&エラーで自分のぴったりのものを探していくしかありませんね。