トライアスロンのレースに出場するにあたって、あらかじめ決めておかなければならないことはたくさんあります。
ランニングシューズはどれを使うのか。
自転車のセッティングはどうしておくか。
補給食は何を用意するか。
そして結構頭を悩ませるのが、レースウェアではないでしょうか。
トライアスロンには、トライアスロン専用の「トライウェア」というものがあります。
トライウェアを1着持っておけば、スイムからランまでこれ1着でOKという優れた代物です。
しかしトライウェアにはいくつかのタイプ、たくさんのブランドがあり、特に初めてだとどれを選んでいいのか悩んでしまうと思います。
この記事では、誰でも簡単に自分に合ったトライウェアを選択できるように、選び方の解説を行いたいと思います。
トライウェアとは?
まずそもそもトライウェアとは何ぞや、です。
トライアスロンはスイム、バイク、ランの3種目を行う競技ですから、その間には競技の切り替えを行うトランジッションがあります。
このトランジッションで着替えて、競技ごとに違うウェアにすることも可能ですが、それだとやはり着替えの分のタイムロスが発生してしまいます。
そこで、着替えの時間をなくすために、スイムからランまですべて同じウェアで競技することを目的としたのがトライウェアです。
スイムではウェットスーツを着る大会が多いですが、その場合ウェットスーツの下に着こんでスイムパートを行うのが一般的です。
そのまま泳ぐことができるわけですから、素材は水着と同等のものが多く、またバイクパートのために股間部分にクッションが入っているのも特徴です。
クッションはランの時に邪魔にならないよう、薄めかつ乾きやすいように設計されています。
トライウェアの選び方の流れ
ずばり、トライウェアを選ぶ時の流れは、次のような順序で決めていくのが良いのではないかと思います。
- ワンピースかツーピースか
- フロントジッパーかリアジッパーか
- 袖ありか、袖なしか
- ブランド(デザイン)
- サイズ
これらの項目のどれを優先させるかというのには個人差があると思いますが、すべてレースで結果を出すためにも、レースを楽しむためにも重要なので、どれもおろそかにはできません。
うれしいことに、メジャーなウェアメーカーであれば、だいたいどのパターンにも対応したラインアップがあるので、けっこう機械的に選べるのではないかと思います。
ただ、どの項目もまじめに考えると非常に悩ましいものがあります。
それぞれについて以下で簡単に説明しますので、参考にしていただければと思います。
ワンピースかツーピースか
上下がつながっているワンピースタイプか、上下セパレートのツーピースタイプかです。
ワンピースのものは「トライスーツ」とも呼ばれます。
それぞれの特徴とメリットを見ていきましょう。
ワンピースの特徴とメリット
- ツーピースよりもやや安価
- 上下がつながっているのですっきりしたシルエット
- 腰回りが緩やかで快適
ツーピースの特徴とメリット
- トイレがしやすい
- 上下どちらかが破損した場合、破損した方だけを買い替えれば良い
- 袖なしと袖あり、リアジップとフロントジップの選択を、トップスだけで変更できる
- 上下が分かれていることで多少のサイズずれも吸収できる
こうしてみると、ツーピースのセパレートタイプの方がややメリットが多いかな、という感じですね。
特にロングに出場される方など、トイレのしやすさや、上だけの変更ができることなどは大きなメリットだと思います。
フロントジッパーかリアジッパーか
ジッパーが前についているか後ろについているかです。
これについては、単純に個人の好みだけでは決められない事情があります。
JTU(日本トライアスロン連合)の定める競技規則、第39条にはこのように明記されています。
4 ジッパーは背面に設けその長さは 40cm 以内とする。ユニフォームの前面にジッパーを設けてはならない。ただし、 ミドル、ロングディスタンス大会では前面にジッパーを設けることができる。
5 ミドル及びロングディスタンス大会で使用が認められる前面ジッパーは、競技中、胸骨の下の位置までジッパーを 下げることはできない。フィニッシュ手前(ITU 大会では 200m 地点)からジッパーをしっかりと閉じるものとする。
出典元:JTU競技規則
2013年頃から、「前開きジッパー禁止」ということが言われるようになってきました。
最初はエリートのみだったりしたのですが、現状では原則エイジグループにも適用されています。
ただしこのルールはグレーなところがあり、原則禁止ながらも、最終的には各大会のローカルルールに委ねられているようです。
そして実質的には、フロントジッパーでも、ちゃんと上まで上げていればOKという大会が多いようです。
実際今でもフロントジッパーのモデルはたくさん売られており、トライアスロンショップで店員さんに聞いても、「エイジの大会なら上まで上げてればほぼほぼ大丈夫」という回答でした。
とはいえ、宮崎シーガイアのようにフロントジッパー着用NGという大会もあります。
こういった状況でフロントジッパーだけしかもっていないのは非常にリスキーなので、無難に行くならリアジッパーにした方が賢明と思われます。
ただ、肩甲骨まわりの硬い人にとっては、リアジッパーって結構着脱が難しいんですけどね。
袖ありか袖なしか
半袖タイプか、袖のないノースリーブタイプか、という選択です。
これもそれぞれのメリットで見ていきましょう。
袖ありトライウェアのメリット
- 肩や腕への直射日光を避けられる(特にロングやミドル)
- バイクでの肩回りのエアロ効果はやや有利
- ランで袖に水をかけるとひんやりして涼しい
袖なしトライウェアのメリット
- 着脱が楽
- 肩回りのストレスが無くて動きやすい
- ウェットスーツなしのスイムで着衣による抵抗が生じにくい
これは見た目も含めて、個人差(好み、どちらが動きやすいと感じるかなど)が大きいところですね。
ブランドはどうする?
ここまでで、どのようなタイプのトライウェアにするのかがだいたい決まっているので、あとはブランドを選べばだいたい絞り込めます。
ブランド選びは、デザイン、カラー、ブランドイメージなどの要素に加え、素材の質感や着心地なども違ってきます。
ウェットスーツやその他のアパレルと揃えたい、などもあると思います。
トライウェアを出している主要なブランドについては、以下の記事を参考にして下さい。
サイズの選び方
どのモデルにするかが決まったら、最後はサイズ選びですね。
各社サイズ設定が違うので、購入するモデルのサイズチャートを確認するようにしてください。
トライウェアではフィット性が重要になります。
しっかりフィットしていないと、ウェットスーツなしのスイムで脇から水が入ってきたり、バイクでも空力で不利になったりします。
初めての時はきついと感じたり、着脱がすごく大変だと感じるかもしれませんが、基本的には最初はちょっときついかなと感じるくらいがちょうどいいサイズだったりします。
トライウェアは賢く選んで楽しく有意義なレースにしましょう
もう一度繰り返しますが、トライウェアを選ぶときは、以下のような流れで考えるのがおすすめです。
- ワンピースかツーピースか
- フロントジッパーかリアジッパーか
- 袖ありか、袖なしか
- ブランド(デザイン)
- サイズ
決して安い買い物ではないので、十分よく考えて、出場する大会や自分の好みと照らし合わせて検討してください。