トライアスロンのレース形態の1つである、スプリントディスタンスについて解説します。
「Sprint」という単語は、日本語でいうと「短距離走」とか「全力疾走」という意味にあたります。
トライアスロンにおいてのスプリントレースもその言葉通り、ほかのレース形態に比べて距離が短く、その分(比較的)高速で推移するレースです。
また、距離の短いスプリントディスタンスには、初心者が参加しやすいような雰囲気の大会が多くなっています。
初めての大会エントリーに、あるいは、スタンダードやロングに飽きてきたからたまには短い距離でタイムを狙ってみるか、という方にもおすすめです。
スプリントディスタンスの距離
トライアスロンを始めて間もない場合、特に初めての大会にエントリーされる場合は、「まずは短い距離の大会から」と考える方が多いと思います。
いきなり距離の長い大会に挑戦してみるのも一興ですが、まずは手がたく完走して成功体験を積んでおきたいものですよね。
スプリントディスタンスの距離は一般的に、スタンダード(オリンピック)ディスタンスの半分とされています。
スプリントディスタンスの距離
スイム:0.75km
バイク:20km
ラン:5km
ただ、上記で「一般的に」と書いたように、この定義は正式なものとは少し違います。
記事を書くにあたって、何が正式な定義なのだろうと改めて探してみると、ITU(国際トライアスロン連合)の定める競技ルールに記載がありました。
ITU競技ルール(英語サイト)はこちら。
PDFの97ページに下表の記載があります。
出典元:ITU
上から3番目のSprint Distanceには、「Up to ~」の記載がありますね。
つまり、スイムは750m以下、バイクは20km以下、ランは5km以下という条件を満たすレース全てを「スプリントディスタンス」と呼んでいいことになります。
巷では便宜的に、「オリンピックの半分がスプリント」とされていることが多いです。
なのでそう覚えてもぜんぜん構わないのですが、ぴったり半分でなくてもスプリントディスタンスと呼ばれることがある、ということもあわせて覚えておくと良いかもしれません。
スプリントディスタンスの特徴
トライアスロンの主流はやはりスタンダードとロングなので、スプリントの大会はどちらかというとマイナーです。
規模の大きな大会よりも、参加者は多くて300人程度、少ないと数十人という小規模な大会の方が多いです。
- 距離は大会によってまちまち
- ルールも緩め
- 参加費安め
- ローカル色強め
というのがスプリントディスタンスの大会に比較的よく見られる特徴です。
また、スプリントディスタンスへの主な参加目的には、大きく以下の2つがあると思います。
- 初心者なのでまずは距離の短い大会に出たい
- 短い距離でスピード勝負のレースがしたい
トライアスロンをやるなら誰しも、「いずれは少なくともオリンピックディスタンス以上で完走したい」と思うことでしょう。
その前段階として、スプリントディスタンスはもってこいなので、初トライアスロンとしてエントリーする人が多く、そのため敷居が低い大会が多いです。
一方で、もちろん初心者ばかりが集まるわけではなく、トップの方ではかなりハイレベルなスピード勝負が行われていることも多々あります。
陸上競技でも、長距離もあれば中距離も短距離もあり、それぞれにその距離を得意とする選手がいます。
トライアスロンでも、ロングとショートでは求められる能力も味わえる楽しさも違うので、アイアンマンに出る人もスプリントをやったりします。
いろいろな距離のレースがあるのも、トライアスロンの醍醐味の一つですね。
スプリントディスタンスの主要大会
スプリントディスタンスで行われる代表的な大会を3つ紹介します。
「代表的」というと少し語弊があるかもしれませんが、規模大きさや特徴、個人的な思い入れで選びました。
大会は全国各地に小~中規模のものが点在していますので、お住いの地域の情報を探してみてください。
関東エリアの初心者におすすめの大会は別記事でまとめていますので、よろしければどうぞ。
Triathlon Luminaの提供するレースガイドはこちら:
全国トライアスロンレースガイド(lumina-magazine.com)
ITU世界トライアスロンシリーズ横浜
世界トライアスロンシリーズというのは、北米やヨーロッパの開催地を中心として全8戦からなる大会で、オリンピックに次ぐ権威のある大会と言えます。
この横浜大会は、東アジアで唯一の世界トライアスロンシリーズで、2019年で10回目を数えます。
毎年5月中旬の週末に行われています。
「えっ、そういうのじゃなくて一般人が出れるやつが知りたいんだけど」という方。
この大会は、「エリート」と呼ばれるトップアスリートの出場する部門とは別に、「エイジグループ」という一般から参加できる部門があるので、普通の市民トライアスリートも参加できます。
メインはオリンピックディスタンスですが、ちょうど半分の距離のスプリントレースがあります。
詳しくはこちら(外部サイト)をどうぞ。
国営昭和記念公園トライアスロン
こちらも、スイム0.7km、バイク20km、ラン5kmのオリンピックの半分タイプです。
この大会はスイムがプールで行われます。
トライアスロンのスイムは、湖や海などのオープンウォーターで行われるのが基本ですが、スタンダードディスタンス以下の大会では、プールを使うケースも少なくありません。
プールを使うメリットは、
- 安全なので初心者でも安心
- 基本ウェットスーツが要らない
で、一方デメリットは、
- ウェットスーツの浮力に頼ることができない
- オープンウォータースイムがトライアスロンの醍醐味と思う人には物足りない
という感じでしょうか。
バイクもランもフラットで走りやすいコースです。
詳しくはこちら(外部サイト)をどうぞ。
沼津千本浜トライアスロン
個人、リレーに加えて駅伝部門もある大会です。
2018年大会で第31回ということですが、私がこの大会に出場したのはその26年前のことなので、第5回大会辺りだったということになります。
その当時は駅伝部門で、1人につきスイム1km、バイク30km、ラン10kmだったと記憶しています。
それが2018年の要綱を見ると次のようになっていました。
リレー(1人1種目×3人): S0.75km-B20km-R5km
駅伝(1人1種目×3人):1区 S0.75km-B20km-R5km/2区・3区 S0.5km-B20km-R5km
レース時間があまりに長くなってしまうから見直したんでしょうかね。
そういえば昔は8月にやってた(クラゲに刺された記憶があるので)ような気もしますが、現在は7月下旬に行われています。
詳しくはこちら(外部サイト)をどうぞ。
トライアスロンのスプリントディスタンス-まとめ
さて、トライアスロンのレース形態の中でも短いスプリントディスタンスについて紹介しました。
本文中にも書きましたが、スプリントは初心者にも出場しやすいだけでなく、スピードレースをしたいベテランの方にも楽しめる大会です。
シーズン最初の景気づけにスプリント、あるいはタイム向上のためのトレーニングとして、などなどいろいろな活用方法もあると思います。