トライアスロンは、近年愛好者が大幅に増加している競技です。
JTU(日本トライアスロン連合)によると、トライアスロン愛好者数は右肩上がりを続けており、2013年時点で37万5000人ということです。2000年のシドニーオリンピックで正式種目になったことや、TVでの芸能人のトライアスロン挑戦企画などによる露出の影響が大きいと言われています。
では何故そんなに、トライアスロン人気は上昇を続けているのでしょうか?
トライアスロンの魅力を語る上で、よく言われるフレーズが「ゴールの瞬間の達成感」ではないでしょうか。あるいは、目的を果たした充足感とか、レース後の解放感とか。
確かにそうですよね。分かります。
レースを終えた日の、あるいは大きなレースであればそのあと数日間、やり切った幸福感に包まれて、ふわふわと心地いいあの感覚。これは多くのトライアスリートが共有しているものではないでしょうか。
しかし、達成感と言ってしまうと、なんだかすごく分かりやすくてきれいなな言葉でまとめだけのように感じてしまうのは私だけでしょうか。トライアスロンがこれだけの人気を博しているのには、まだまだ他にも理由があります。
ここでは、これからトライアスロンを始めようという方々に是非とも知っていただきたい、トライアスロンの魅力、やるメリット、そしてトライアスロンをしているとこんなにいいことがあるよ、というのを一気にまとめてお話ししたいと思います。
トライアスロン人気の理由その① とにかくかっこいい
何がかっこいいか。3つだけ挙げてみます。
- 鍛えられた肉体
- 自転車、そしてそのライディング姿勢
- 孤独で過酷な戦いに挑む姿
基本的にトライアスリートは、ランナーほど痩せていなくて、レスラーのようにマッチョでもありません。運動量がかなり多いので、体脂肪はおおむね一桁でありながら、スイムやバイクのトレーニングで全身の筋肉が適度に増大します。
やや主観的にはなってしまいますが、スポーツ選手の中でもトライアスリートは、無駄のない、均整の取れた、美しい体型をしていると思います。
そしてバイク。
私は常々、競技用自転車ほど造形美、機能美に秀でたものはそうそうないと考えています。今使っているバイクはもう何年も乗り続けているものですが、いまだに眺めていて惚れ惚れしてしまいます。
トライアスリートのライディング姿勢と言えば、DHバーに手をかけた超前傾姿勢です。ロードレースと違ってドラフティング(前の選手のすぐ後ろを走行すること)が禁止なので、基本単独で走行することになります。自転車とまさに人馬一体となって風を切る。かっこいいですよね。
そして何より、孤独で過酷な戦いに身を投じる姿です。
私が好きなのは、ウェットスーツをまとったアスリートたちが、湖面に向かってスタートの号砲を待っている後姿です。全員が多くの苦難を乗り越え、そして今から始まる挑戦への覚悟を携えてそこに立っていて、彼らが胸に秘める期待や興奮は、静かな湖面にすぅーっと吸い込まれていく。
まさに孤独な戦いに挑む姿を象徴する光景ではないでしょうか。
トライアスリートって、とにかくかっこいいんです。
トライアスロン人気の理由その② トライアスリートの称号はリスペクトの的
やや下世話な話になりますが、要するにトライアスロンをやっていると、
- 一目置かれる
- 自慢できる
- 飲み会での話題に事欠かない
- 就職や転職の面接でもアピールポイントができる
というような利点があります。
ましてアイアンマンに完走したとなれば、もはやそれは一生ものの飲み会のネタになります(別に飲み会に限らなくてもいいんですが…)。
私は過去に一度だけアイアンマンの完走経験があります。
一度だけだし、制限時間ぎりぎりだったし、あまりアイアンマン気取りも、と思っていたところ、アイアンマンのツイッター公式アカウントにこんな温かいツイートがありました。
Once you cross that finish line you’re an IRONMAN for life.
(そのゴールラインを超えれば、あなたは生涯アイアンマンなのです)
しっかりお墨付きをもらった気分です。
私はアイアンマン出場当時ヨーロッパに住んでいましたが、あちらでは全体的に、日本よりもさらにスポーツに対する敬意を持っています。アイアンマンの完走を機に、会社で周囲の態度に明らかな変化があったことがそれを感じさせました。
もちろん日本でも、トライアスリートに対する評価は非常に高いものがあります。困難なことに自ら身を投じ、目標を達成し、さらにそれを楽しみさえするのですから、私が会社の採用担当者だったらトライアスロン愛好者はやはりポイント高いですね。
トライアスリートは基本どこへ行ってもリスペクトされます。
トライアスロン人気の理由その③ とにかく3倍楽しい
3倍って、何の? と聞かれるとちょっと困ってしまいますが、トライアスロンというのはスイム、バイク、ランの3種目があるわけですが、それらが3分の1ずつになって合わさったのがトライアスロンなのではなくて、3種目になった分、スポーツとしての面白さ、奥深さ、醍醐味、すべてが3倍になります。この辺はあまり理屈ではありません。
3倍になったことで戦略が生まれ、ドラマが生まれ、そして新たな苦しみが生まれ、新たな達成が生まれるのです。
それと、「鉄人」という言葉がちょっと引っかかるんですよね。何だか少し、言葉は悪いんですが、「筋肉バカ」みたいな感じがしませんか?
トライアスロンの事を、きつい種目を3つも続けてやるただのエクストリームなスポーツだととらえてる人たちは、鉄人という言葉を「アタマのネジが何本か飛んじゃってる人たち」と置き換えてしまっているかもしれません。
でも実際は全く違うんですよね。おそらくトライアスリートにただの筋肉バカはあんまりいません。
トライアスロンは知的で戦略性に富んだスポーツです。IT社長や有名人のトライアスリートが増えているという事実も、そのことを端的に表しています。
道具の選び方から、練習の量とやりかた、日々の過ごし方、レースの選び方、コンディショング、レースの進め方など、戦略を積み重ねて積み重ねて、最終的に何か1つの成果を成し遂げる、それがトライアスロンの真価です。
トライアスロン人気の理由その④ 生活が変わる
日々をなんとなく過ごしていた人がトライアスロンを始めたとしたら、きっと生活が変わります。具体的には、食生活と時間管理です。
食生活では、
- 疲労回復や効率的な体作りのために栄養素を意識するようになる
- 暴飲暴食を控えるようになる
など。
時間管理という面では、
- 膨大な練習時間を捻出しなければいけない為、無駄をなくし物事を効率的に片づけるようになる
- 睡眠の量と質を向上させるために早めに行動して早めに就寝するようになる
などといったことがあげられます。
どれも一般的にはポジティブな変化ととらえることができると思います。生活の中にトライアスロンという一本筋が通った感じになります。トライアスロンを趣味に持ちながら、同時に怠惰な生活を送る、というのはちょっと想像がつきません。
まとめ - まあとにかくやらない理由が見つからない
トライアスロンを始めた時には、なぜトライアスロン?という風にはあまり考えませんでした。どちらかというと「思いつき」であり、何か極端なことをやってみたい、ということをそのころ考えていたのを覚えています。
トライアスロンをやっているうちに、なんでこんなに楽しいんだろうと感じたり、人から「なんでトライアスロンなんてやってるの?」と聞かれたりすることで、トライアスロンの魅力やメリットについては自然と考えることが多くありました。
今回はそうした中で思ったことなどの一端を整理してみました。トライアスリートの皆さんに共感していただけたり、これから始める方がより興味を深めていただけるような記事になっていたら嬉しく思います。
もう少し別の視点でトライアスロンというスポーツについて考察をした記事も書いていますので、もしよろしければそちらもご覧いただけると幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。