ソーシャルディスタンスという言葉がいまだにいたるところで使われている。
メディアなどでは「社会的距離」と訳されることも多く、感染症予防のために通常より広く取る「対人間隔」という意味で使われている。が、やっぱり違和感しかない。
「社会的距離って何?」と最初に聞いた時思わなかっただろうか?
人と人との物理的な距離のことを言いたいはずなのに、「社会的」という響きには社会という漠然としたものとの距離だったり、あるいはより心理的な距離といった印象がある。どちらかというと社会的距離よりも、「社交上の距離」とした方がしっくりくるのだけど、これも「社交」という言葉が持つ「人と人との付き合い」「交際」といった意味からすると、フィジカルな距離を表すには適切ではない気がする。
ところで英語圏であるアメリカでは、”Social Distance”ではなく”Social Distancing”(ソーシャルディスタンシング)という言葉が使われる。”To maintain social distancing …” (ソーシャルディスタンシングを維持するために…)といった文言が文頭についた貼り紙を頻繁に目にする。
調べてみると、ソーシャルディスタンス(社会的距離)はもともと社会学で使われている用語で、物理的な距離ではなく人種間など集団の間にある心理的な距離のことを指すらしい。確かにそれならしっくりくる。一方のソーシャルディスタンシングは、疫学上で「感染症の拡大を防ぐために対人間隔を取ること」を意味している。なのでメディアなどでは本来こちらの方の用語をチョイスするべきだったのだけど、まあソーシャルディスタンシングってなんだか言いにくいから仕方がなかったのかもしれない。
ただしもっと言うと、このソーシャルディスタンシングもニュアンスがはっきり伝わりにくいので、WHO(世界保健機構)では”Physical distancing”(物理的距離を取ること)を推奨しているらしい。ソーシャルなんて言葉を使わず最初からそう言ってくれていたらもっとしっくりきたのに、と思う。
さて、コロナ禍に明け暮れた2020年が終わり2021年が始まった。年が明けてももちろんコロナコロナではある。
仕事でやむなく年末年始をアメリカで過ごすことになり、帰国後14日の自主隔離期間を過ごすホテルも確保できたところで、関東の1都3県に緊急事態宣言が出された。やれやれ、だ。どちらにしてもホテルに缶詰めなのであまり関係ないと言えばないのだが、ようやく帰国というタイミングでの緊急事態宣言はやっぱりなんだか切ない。
今年2021年のことを考えると、やはり真っ先に東京オリンピックがどうなるのだろうと思ってしまう。おおよそのことを楽観的にとらえる私は、1年延期が決まった段階では来年ならまあ大丈夫だろうと思っていたものの、さすがに現状を踏まえると今年の開催には楽観的になれない。
オリンピックだけではない。今年のトライアスロンシーンは一体どうなるのだろう。トライアスロンのレースはいくつ開催されるだろう。出場できるだろうか。それともそれどころではなくなっているのだろうか。
緊急事態宣言解除予定日後のマラソン大会にエントリー
そういえば、3月に欧州から帰国した去年は、帰国して間もなくの4月7日に緊急事態宣言が発出されていた。帰国後に参加するはずだったマラソン大会は2月の段階で中止が決定されていて、そういえば当日一人で大会のコースを走ったことを思い出す。
今年はというと、最寄りの市の2つのマラソン大会は去年のかなり早い段階で揃って中止を決めている。ほかの大会を探してみても、この冬に開催を予定しているレースはほとんど見当たらない。緊急事態宣言前からこの状況ではあったが、緊急事態宣言下ではさらに中止の決定が増えることだろうと思う。
そんな中、2月の中旬に開催される小規模なハーフの大会にエントリーをしてみた。もちろん中止のリスクは覚悟の上である。トライアスロンと違ってエントリー費も数千円なので、まあダメだったらダメで仕方がない。
トレーニングを続けている以上、やはりその結果を何らかの形で留めておきたいものである。それが無いと続けられないというのもあるし、年齢的に身体能力が下降していく中で、この先にはもう望めないであろう結果を今のうちに残しておきたいという気持ちもある。
もちろんそれは感染しないこと、させないことの大切さを上回るものでは全くない。優先順位は明確ではある。だけど簡単に切り捨てられるものでもないので、感染対策は万全にしたうえで、大会が安全に開催されることを切に願う。
2020年に開催されたトライアスロンレースたち
2020年の春から夏にかけて、ツイッターなどのSNSを通して各地のトライアスロンの開催状況を追いかけては「あそこもついに中止を決めたか」とか「延期して開催予定か、うむ、がんばってるな」とか言っていたのがまだ記憶に新しい。
残念なことに去年はコロナ禍の影響でほとんどの大会が中止、開催された数少ない大会も開催時期の変更や、規模(参加人数や距離など)の縮小などを余儀なくされた。シーズン序盤の春~初夏にかけての大会は第一波の時に中止の判断に追い込まれ、シーズン最盛期の真夏の大会は第二波によりやはり中止、または延期せざるを得ないという状況が続いたのだ。
ようやくいくつかの大きな大会が開催されるようになったのは10月初旬。例年ならシーズンもまさに終盤というところだった。
ではそんな2020年に開催されたトライアスロンレースはどれくらいあったのか。全国で探すのは大変そうなので、例によって関東1都6県に絞ってみる。だいたいどこの地方でも同じような状況だったと思う。
9月20日 大磯ロングビーチファミリートライアスロン
10月4日 川崎港トライアスロンin東扇島(OD→スプリントへ変更)
10月4日 水郷潮来トライアスロン(時期変更及び距離の短縮)
10月11日 九十九里トライアスロン(ミドルは中止)
調査漏れがなければ、たったのこれだけである。
練習会レベルの規模のものはこのほかにも開催されていたようだし、デュアスロンは千葉(フレンドリーパーク下総)と埼玉(紅葉チャレンジ加須=トライアスロンの部は中止、羽生バイク&ラン)で開催されたが、一定以上の規模のトライアスロンとしてはおそらく上記4大会だけと思われる。
全国の有名どころでは、アイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパン(残念なバイク事故があったことも記憶に新しい)や、大阪城トライアスロンが何とか開催を実現し、皆生に関してはスイムのタイムは自己申告、バイクはローラー台という超イレギュラーな形態での開催となった。一方、石垣島も宮古島も佐渡も、横浜も宮崎も、伊勢志摩も木更津も、多くの人気大会が残念ながら中止となった。
2021年のトライアスロンレースはどうなる?
その上での今年である。
昨年いくつかの大会は実施されたといっても、トライアスロン愛好者のほとんどはレースのない一年を過ごしたことだろう。この状況が続けば選手のモチベーションが下がるだけでなく、関連用品の購買意欲も下がり、トライアスロンの大会運営やショップなどのビジネスにも影響が出そう(いやもう絶対出ているはずだが)で怖い。
本ブログの閲覧数や広告収入などを見ても、本来ピークを迎えるはずの7月・8月にも明確なピークがなく、やはり大会が無ければウェアも新調しないし、バイクのパーツ交換や改造などにもなかなか手を付けないものなのだろう。
全てはコロナ次第となってしまいそうだが、今年開催を表明している大会は多数あり、またすでに募集を開始/終了している大会もある。シーズン前半の7月までの大会を挙げると以下のようになる。
4月11日 石垣島トライアスロン
5月9日 大阪城トライアスロン
5月16日 横浜トライアスロン
5月23日 琵琶湖トライアスロン(ミドル・新規)
6月6日 天草宝島国際トライアスロン
6月20日 宮崎シーガイアトライアスロン
6月20日 木更津トライアスロン
6月26日 諏訪湖トライアスロン(ミドル・新規)
6月27日 トライアスロンIN徳之島
7月4日 伊勢志摩里海トライアスロン
7月4日 みやぎ国際トライアスロン仙台ベイ七ヶ浜
7月18日 秋田トライアスロン芭蕉レース象潟
参考:トライアスロンルミナ
注目すべきはミドルの新レースが2つあることだ。
琵琶湖、諏訪湖といったロケーションでどのような大会になるのか、さらに既存の大会が少ないミドルディスタンスという事で興味は尽きない。
またオリンピックの影響も鑑みてなのか、あるいは酷暑による競技内容変更を避けるためか、木更津大会は従来の8月から6月へ変更になっている。オリンピックイヤーであるという事が今後どのような影響を及ぼしてくるのかにも注目しておきたい。
とは言えコロナ次第ですべては水泡に帰す可能性もある。今年も各レースの開催方針を常にチェックして、エントリーするかどうかに頭を悩ます日々が続くものと予想される。
私も年間購読させていただいているトライアスロンルミナでは、毎年最初の刊に付録でレースガイドが付いてくる。今年の4月号にも2021年のレースガイドが付いてくるので、こちらも参考にしていただきたい。
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