ロードバイクなどの自転車用ヘルメット選びでいちばん難しいのが、自分の頭にジャストフィットするヘルメットを探すことではないでしょうか?
ネットの商品ページやカタログで見るとかっこいいのに、いざ自分が着けてみるとなんだかキノコみたいに見えてしまう。
頭の周りの長さを測ってサイズチャートに従って選んだのに、なぜかうまくフィットしない。
今回はそんなヘルメットのフィット感に関する悩みを解決していきたいと思います。
日本人が欧米メーカーのヘルメットをかぶるとキノコ化してしまうワケ
ヘルメットメーカーの大半はアメリカやイタリアなど欧米のメーカーです。
欧米メーカーの作るヘルメットは、当然ながら欧米人の頭の形に合わせて設計されています。そのため彼らとは頭の形の違う日本人、ひいてはアジア人が着けた時にフィットしにくいというのは、当然と言えば当然のことかもしれません。
欧米人とアジア人の頭の形の違いには、主に以下のような点があげられます。
- 上から見て、欧米人の頭は前後に長く、アジア人は後頭部が絶壁
- 前から見て、欧米人の顔は縦長で、アジア人は横長
- 前から見て、欧米人の頭の方が丸みがあり、アジア人は側頭部が張っている
もちろん個人差も大きいので一概には言えませんが、全体としてこのような傾向があるのです。
日本人が欧米ヘルメットメーカーのヘルメットを着けた時にキノコみたいに見えてしまうことがあります。
この現象は、日本人の頭がい骨が横長で側頭部が張っているため、ヘルメットに頭がちゃんと収まらずにちょこんと乗っているだけのような状態になってしまうような場合に起こります。
ではそうした我々日本人が、しっかりフィットするヘルメットを見つけるためにはどうしたらいいのでしょうか。
自転車用ヘルメットのAF(アジアンフィット)とは?
日本人にフィットするヘルメットが欲しければ、まずは国産メーカーを選ぶことです。
ロードバイクのヘルメットでは、ジロやカスク、メット、レーザー、ベル、POCなど多くの有名どころが欧米メーカーですが、OGK Kabuto(オージーケーカブト)は日本のメーカーです。
OGKのヘルメットは日本人に合わせて設計されているので、比較的安心して選ぶことができます。
しかしだからと言ってOGKだけに制限されてしまうのはやはり残念です。欧米の有名メーカーからも選びたいものです。そこで欧米メーカーがアジア人のために設計してくれたのが、AF-アジアンフィットモデルです。
AFモデルは、前述したようなアジア人の頭の特徴(横長で後頭部が絶壁気味で、側頭部が張っている)を踏まえて、オリジナルと同じデザインのままアジア人にフィットするように作られています。
こうしたアジアンフィットモデルはどのメーカーでも出しているわけではありません。対応していないメーカーはおそらく、オリジナルの形状がもともとアジア人にもフィットしやすくなっているか、あるいはアジア市場での販売にそれほど力を入れていないかのどちらかでしょう。
例えばオークリーのヘルメットは海外のプロ選手がよく使っている主要ブランドですが、横幅が狭く多くの日本人には不向きです。
一方で例えばイタリアメーカーのカスクなんかは、アジアンフィットはありませんが比較的日本人にも付けやすい形になっていると個人的には感じます。
アジアンフィットなおすすめロードバイク用ヘルメット
ではここから、日本人にもフィットしやすいヘルメットを紹介していきます。対象としているのは主要ヘルメットメーカーのアジアンフィットモデルと、国産OGK Kabutoのロードバイク用ヘルメットです。
ざっくり参考価格が低価格のものから順にあげていきます。
参考価格はインターネットショッピングサイトで確認できた販売価格であり、多少の変動があるかもしれませんので、あくまで参考とさせてください。
LAZER(レーザー) BLADE+ AF
参考価格:8,000円~
BLADE+は、アメリカンブランドであるレーザーのエントリーモデルです。
低価格ながらロード用ヘルメットに必要な機能・性能を十分満たしたヘルメットです。
通常自転車用ヘルメットのフィットシステムは後頭部のダイヤルで調整するのが一般的ですが、レーザーの場合は頭頂部にあるサムホイールと呼ばれる調整機構で、指一本で調整できます。
通常のダイヤルとサムホイールはどちらの方が優れているということは特になく、好みの問題かなと個人的には思います。どちらも片手で簡単に調整できることに変わりはありません。
OGK Kabuto(オージーケーカブト) REZZA-2
参考価格:8,000円~
アジアンフィットモデルではありませんが、さすが国産メーカーだけあって、OGKカブトが一番フィットするという日本人は多いです。かつて欧米メーカーのものをいろいろと買い渡ってヘルメットジプシーをしていた人が、最終的にOGKに落ち着いたという人も少なくないようです。
REZZA-2はOGKのエントリーモデルですが、こちらもロード用として機能・性能に全く問題なく、かつMサイズで215gというのはかなり軽量な部類に入ります。
BLADE+と並んで、初心者におすすめのロードバイクヘルメットです。
OGK Kabuto(オージーケーカブト) VITT
参考価格:11,000円~
VITTもOGKなので日本人にとっては安心のモデルで、こちらはこの価格ながら標準でアイシールドが付いてきます。アイシールドをサングラス代わりと考えればサングラス代が浮くので、コスパとしては圧倒的に高いと言えるのではないでしょうか。
外観デザインもコンパクトになっているので、ヘルメットを着けると頭でっかちに見えてしまうのが気になるという人に嬉しいですね。
REZZA-2もいいけどちょっとくらいなら値段が上がってもいいという人には、VITTはかなりおすすめのヘルメットです。
LAZER(レーザー) Genesis AF
参考価格:17,000円~
レーザーのヘルメットの中でもっとも軽量なのがこのGenesisです。
Smallサイズで195gということで軽いのは間違いないのですが、多くのメーカーがカタログ重量をMediumサイズで表記するのに対し、Smallサイズで出されてしまうと単純に比較はできませんね…。
BLADE+よりも上位のモデルということで、空冷性能や軽量性、フィットシステムなどがグレードアップされています。しかし結局のところ一番違うのは見た目の形状とカラーリングではないかと思います。
BLADE+は初級モデルということで形状的にも街乗りヘルメットに近く、カラーリングもやや安っぽい感じがします。それと比べるとGenesisはロード用らしい洗練された形をしていて、カラーリングも個性的で高級感も増していると思います。結局のところ、ヘルメット選びは見た目がかなり大事ですからね。
GIRO(ジロ) SYNTAX MIPS AF
定価:18,480円
アメリカンブランドのジロもいくつかのアジアンフィットモデルを用意しています。
全てのヘルメットではなくて一部のヘルメットに対してアジアンフィットモデルを出すということは、そのヘルメットはメーカーとして自信を持っていて、長期的に売りたいヘルメットだと考えることができます。
SYNTAX MIPS AFは2019年にジロが登場させた、「新基準の」スタンダードヘルメットと言われています。
ロード用ヘルメットとしての基本性能だけでなく、MIPSという安全システムを取り入れることで安全性も大きく向上させています。
MIPS(ミップス)とは?-ロードバイクなどの自転車用ヘルメットに搭載されている安全システムについて | triathlista
ジロのヘルメットについては「参考価格」ではなくメーカの「定価」を記載しています。これは基本的に価格をジロがコントロールしているので、販売サイトなどで勝手に価格を設定することができないためです。
そのため他メーカーと比べて少し割高に感じるかもしれませんが、世界的な定番であるジロが高い安全性と日本人に合ったフィット性を両立されたヘルメットということを考えれば、さほど高価ではないような気がします。
KPLUS NOVA アジアンフィット
参考価格:24,000円~
KPLUSは2014年に生まれた若い台湾ブランドで、日本上陸は2019年と最近のことです。
このサイトでは通常新興ブランドよりも実績のある定番メーカーを優先して取り上げるようにしているのですが、アジア人に合う形状のヘルメットの選択肢を広げるためにもKPLUSを取り入れてみました。
KPLUSが掲げているのは「スポーツとファッションの融合」です。
KPLUSの面白いところは、製品リリース時の技術や流行で「ジェネレーション」という区切りを設定し、一定数を生産して売り切って終わり(追加生産はしない)という手法です。テクノロジーやファッションのトレンドを大切にして、陳腐化したものは売らず常に最新のものを作って提供する、ということのようです。
デザインを見てみると、たしかに先進的で洗練されたイメージを受けなくもありません(この辺は完全に個人の好みですが)。
肝心のフィット性ですが、例のキノコ化を防ぐべく帽体が深めになっていて、頭全体を包み込むように設計されています。また厚みの違うインナーパッドが付属しているため、付け替えることで微調整も可能になっています。
OGK Kabuto(オージーケーカブト) IZANAGI
参考価格:29,000円~
オージーケーカブトのフラッグシップモデルです。
メーカのサイトによると「最高の空冷効率と、手のひらで包み込むような“至極”のフィーリング」とのこと。
国産メーカであるOGKは、
- そもそも日本の過酷な夏を想定しているので、空冷性能が高い
- そもそも日本人の頭に合わせているのでフィット性が高い
という2つの大きなメリットを持つわけですが、それらをもっとも高いレベルで実現しているのがIZANAGI(イザナギ)です。
カラーバリエーションが豊富ですが、販売サイトでの価格は実際には色によって差が出ているようです。気に入った色が予算に見合うようなら「買い」のヘルメットです。
KPLUS(ケープラス) ALPHA アジアンフィット
参考価格:30,000円~
KPLUSのALPHAは、前出のNOVAに比べてエアロを意識していて、レースにも使えるオールラウンドヘルメットになっています。
ストラップのバックルもマグネット式で簡単につけ外しができるようになっているので、エアロダイナミクスも含めてトライアスロンでの使用を意識しているものと思われます。
日本人の頭にフィットして、機能性も高く、なおかつ造形美に優れていることがKPLUSの持ち味であり、そういうヘルメットって実はあんまり無かったりします。
まだまだ日本での知名度は高くありませんが、これからじわじわ人気が高まっていきそうな気配がします。
GIRO(ジロ) AETHER SPHERICAL AF
価格:43,780円(税込)
ジロのフラッグシップモデル、イーサー・スフェリカルにもアジアンフィットモデルがあります。
ジロの最高峰のヘルメットなので価格もかなり高いですね。
高価格設定の一つの理由に、新しい安全システム「MIPS Spherical」を世界で初めて搭載しているところにあります。衝突時の回転衝撃を軽減することがMIPS安全システムの目的ですが、MIPS Sphericalはシェルを2分割することで快適性やエアベント性能を妨げることなく、さらに安全性を向上させています。
それにしても2万円台のモデルとこのイーサー・スフェリカルとを比べて、値段相応の違いが実益としてあるかどうかというと微妙な気もします。そもそもフラッグシップモデルというのはそういうものなのかもしれませんが、高価格帯になればなるほど値段と性能は比例しにくくなります。
日本人向きのアジアンフィットなロードバイク用ヘルメット-まとめ
以上、今回はロードヘルメットのキノコ化問題の対策として、国産メーカの活用と、欧米メーカーの出しているアジアンフィットモデルのヘルメットについてまとめました。
繰り返しになりますが、自転車競技はもともとヨーロッパ発祥であり、ロードレースで使用されるヘルメットを作っている主要ブランドもヨーロッパやアメリカの企業がほとんどです。
そのため有名メーカーのヘルメットを日本人が着けると、頭の形の違いからヘルメットが浮いてしまったり、あるいは側頭部が締め付けられて痛みを感じたりしてしまいます。
この問題を避けるためには、オージーケーカブトなどの国産メーカのヘルメットを使うか、一部の欧米ブランドが出しているアジアンフィットモデルを選択する手段があります。
日本人の頭にフィットしやすいおすすめヘルメットをいくつか掲載したので、ぜひとも参考にしてみてください。