さて今回はトライアスロンの大会出場にあたって、使用できる自転車の種類についてのお話です。
トライアスロンのバイクといえば、基本的にはロードバイクですね。
さらにトライアスロン向けに特化したトライアスロンバイクというものもあります。
では果たして、ロードやトライアスロン用じゃないとレースに出場できないのでしょうか?
クロスバイクは?
マウンテンバイクは?
ママチャリは?
今回はそのあたりを掘り下げていきます。
まずは公式ルールを確認してみる
えてして公式なルールのようなものは複雑怪奇になっているので、ざっくりと見ていきます。
JTU(日本トライアスロン連合)の競技規則を見てみましょう。
JTU競技規則は基本的にはITU(国際トライアスロン連合)の競技ルールに基づいていて、和約プラス加筆で構成されているようです。
第90条 競技に用いるバイクは、ロードレーサーを基本とする。
出典:JTU
いきなりガツンときました。
「やっぱりロードじゃなきゃダメか…」
と思った方、あきらめるのはまだ早いです。
これはあくまで原則の話です。記事の最後までお読み下さい。
もう少し競技規則を読んでいくと、競技に使用するバイクについては「UCIの競技規則を適用する」とあります。
UCIとは 国際自転車競技連合(仏: Union Cycliste Internationale)のことです。
トライアスロン独自で規定するのではなく、自転車の国際統括団体の規則を流用するわけですね。
更にややこしくなりそうなのでUCIの規則を見に行くのはやめて、JTU競技規則を読み進めます。
結局のところITUの定める自転車の定義は?
さらに読んでいくと次のような記述があります。
自転車は、2つの同径ホイールからなる人的駆動の車両であって、前輪はハンドル操作が可能であり、後輪はペダ ルとチェーンでの駆動システムとする。自転車は、バイシクル、サイクル、一般にはバイクと表現し、次項の特性を 備えていなければならない。
出典:JTU
「え、そこからですか?」と言いたくなりますが、つまり一輪車はさすがにダメだという事が分かります。
次に自転車の具体的なスペックの話になります。
面倒な話はあと少しだけなので、ちょっとだけ我慢してください。
我慢できない方は下にスクロールして次の見出し「実際クロスバイクやMTBで出場できる?」から読んでください。
「ドラフティング禁止レース」及び「エイジグループのドラフティング許可レース」のバイク構造は次の各号に掲げる 規定を満たすものでなければならない。
(1)全長 185cm 以内、幅 50cm 以内であること。
(2)ボトムブランケット(クランク軸)の中心と地面の間隔は 24cm 以上 30cm 以内であること。
(3)ボトムブランケットの中心を通る垂線と前車軸との間隔は 54cm 以上 65cm 以下であること。
(4)ボトムブランケットの中心を通る垂線とサドル先端の間隔は、後ろに15cm以内、前5cm以内とし、競技中にサド ル位置を変更することができるシートピラーは、この範囲内において使用できる。
出典:JTU
長い引用になりました。
「ボトムブランケット」とありますが、これはボトムブラケットの間違いでしょうね。
上記引用の内容を図で表したものが下記になります。
出典:JTU
いかがでしょうか?
基本的にフレームの形状に関する記述ですね。
しかも結構マージンがあるので、この条件に関して言えばロードバイクでなくでも、スポーツタイプの自転車であれば合致しそうに思えます。
実際クロスバイクやMTBで出場できる?
トライアスロンの他のルール(ドラフティング、着衣、タイム制限など)と同じように、使用できる自転車についても最終的にはそれぞれの大会に任されています。
では実情はどうなっているでしょうか?
色々な大会の開催要項やローカルルールをみてみると、クロスバイクやマウンテンバイクについては許可されいてるものも多くあります。
エリートレースと併催されるような競技レベルの高い大会ほどNGで、ビギナー向けの大会ほどOKという傾向があります。
また、スプリントディスタンスはOKだけどオリンピックディスタンスはNG、というようなケースもあります。
出場するレースだけでなく、出場するカテゴリーにもよるので、しっかりと確認しておきましょう。
記載のない場合は、大会事務局へ直接電話で確認するのが手っ取り早いです。
私も競技ルールの確認などで電話をかけることが多いですが、みなさん親切に対応してくださいます。
小径タイヤの自転車(ミニベロ)は?
いわゆるミニベロと呼ばれる、小径車はどうでしょうか?
ひとくくりにミニベロと言っても、街乗り用のものから、ロードレーサー並みのスピードが出るものまでさまざまです。
個人的にはレースで見かけた記憶があまりありませんが、スポーティなものであればレースでも使えそうな気がします。
ただ、多くの大会では使用できないことになっているようです。
許可されている大会もありますが、クロスバイクやMTBに比べるとその割合は少ないようです。
明記されていないことも多いので、小径車での出場を考えている場合は、こちらも事務局へ電話確認がベストです。
ママチャリで出場できる大会は?
ママチャリ、正式にはよくシティサイクルと表記されるやつですね。
さすがにママチャリは…と思いますが、出られる大会もあることはあります。
ただしやはりほとんどの大会ではNGで、開催要項に記載もない(論外)ことが多いです。
「別に本人が良ければママチャリだっていいじゃないか」という声もありそうですが、そうもいかない理由もあります。
トライアスロンのバイクは基本周回するレースが多いですよね。
すると、時速38kmで進むロードレーサーと、時速18kmのママチャリが同じ道を走るというシチュエーションも生まれます。
コーナーを曲がったところに極端に遅い自転車がいたら…などという事を考えると、非常に危険です。
基本トライアスロンの大会は競技として開催されるものなので、そうした競技性への配慮というものが必要です。
一方、競技性を追求せず、楽しむことにより重心をおいたイベントの中にはママチャリが許可されているものもあります。
下記がその一例です:
- 横浜シーサイドトライアスロン
- 前橋トライアスロンフェスタ ※一般の部は禁止
注意点としては、かごやスタンドなど、走行に必要のないものは外しておく必要があります。
ママチャリはOKでも、電動自転車はもちろんダメですよ。
ちゃんと自分の力で進みましょう。
トライアスロンレースに参加できる自転車のまとめ
さて、今回はどんな自転車であればトライアスロンに出場できるのか、をテーマにお届けしました。
大事なポイントをまとめます。
基本はロードタイプ(トライアスロンバイク、TTバイク含む)
許可率は、ロードバイク>クロスバイク&MTB>ミニベロ>ママチャリ、の順
ピストバイク、ブレーキの無いバイク、電動自転車などはほぼ例外なくNG
ロードバイクは高価です。
トライアスロンを始めるにあたって、高価なバイク購入はあと回しにして、しばらくは自分に合うかどうかを試してみたい、という考えはもっともです。
レンタルという選択肢もありますが、クロスバイクなどある程度走れる自転車があるのであれば、とりあえずそれで出られる大会に出てみる、というアイデアも有りだと思います。
レースではふつう、トランジッションにバイクを入れる前に、「バイクチェック」というのがあって、スタッフがバイクを確認します。
その時になって、「この自転車じゃダメ!」と言われてしまうようなことがないように、不安な場合はしっかり事務局に確認するようにしましょう。