主にこれからトライアスロンのラン練習を始める初心者向け記事です。
「ラン練習って何から始めたらいい?」
「トレーニングで特に気にすべきことは何?」
という疑問をお持ちの方に向けて書いています。
ランは基本的にシューズさえあれば始められるので、一番気軽に練習が始められますね。趣味でランニングをしていない人にとっては、ランニングは苦手だし長く走るのはきつい、という人もいると思います。
でもトレーニングを続けてさえいれば、そして体のケアさえ怠らなければ、長く走ることはそれほど大変なことではないはずです。
トライアスロンのランパートの特徴
何といっても、トライアスロンのランパートは最後の種目です。
普通のマラソンなら体が万全の状態から走り始めますが、トライアスロンでは既に疲労した状態から、あるいは場合によっては満身創痍の状態から走り始めることになります。普段から走っている人、マラソン大会に出場している人でもこの点については注意が必要です。
普通の長距離走とは別物とまでは言いませんが、結構違います。
その分注意したいのが足のトラブルです。特に気を付けたいのが膝や足首の関節の痛みで、無理をして走り続けると慢性化し、競技を長く楽しむことの妨げにもなります。シューズは普通の長距離走をする時よりも、1段階クッション性の高いものを履くことをおすすめします。
通常、初心者ほどソールが厚く、かかともがっちりホールドされるような、足を保護する機能の高いシューズを履きます。それに対して早いペースで走れるようになってくると、クッション性よりも軽量性などを重視したシューズを選ぶのが一般的です。
トライアスロン初心者が、練習や最初のレースを意識した場合、自分のランの実力よりも少し初心者よりの(より衝撃吸収性を重視した)シューズを選んだ方が良いと思います。
また必要に応じて、膝サポーターを使用するのも良いと思います。とにかく無理なく長く続けられること、トレーニングを長く休まなければいけないような状況を作らないことが重要です。
足を痛めないための対策が重要。
まずはゆったりジョグから始める
普段走っていない人の導入時は、最初はペースはゆっくりで良いので、短時間のジョギングから始めましょう。
距離は気にせず、時間で最初は10分とか15分とか。いきなり毎日だと体がびっくりするので休みをはさみながら、少しずつ走る時間を伸ばしていきましょう。
ランニングの前後は必ずストレッチをしましょう。体の各部位を伸ばしておくことで、怪我の予防にもなります。特に走った後はのストレッチも忘れずに。
徐々に時間を伸ばしますが、無理はしないで下さい。30分くらいがちょうどいいかなと感じるようであれば、しばらくそれを続けるのも良いです。
うまく時間を伸ばすことができて、60分くらい走れるようになればひとまずは十分かと思います。一般的にジョグのペースはキロ6分~7分程度なので、1時間走ればもう10km、オリンピックディスタンスのランパートの距離です。
自分に合ったフォームを身に付ける
ランニングのフォームというと、脚の運び方や骨盤の位置、腕の高さや振り方など多岐に渡りますが、
中でも以下の2点については走り方を決める重要なポイントだと考えます。
ピッチ走法 or ストライド走法
ピッチとは足を前に運ぶ回数の事で、一般的には1分間に何歩走るかという数値です。ストライドは一歩の長さなので、スピードはピッチ×ストライドで表されます。
一般的に、
- ピッチ走法:ピッチ多めで、ストライド短め
- ストライド走法:ピッチ少なめで、ストライド長め
とされています。
ピッチとストライド、どちらでよりスピードを稼ぐのか、ということですね。
どちらがいいかというのは足の長さや筋力などにもよるので一概には言えません。ただし初心者においては、ピッチ重視にした方が有利と言われています。
その理由はピッチ走法の方が一歩が小さい分、着地時の衝撃が小さく、筋肉や関節での衝撃が小さいこと、またエネルギーロスが小さいことが上げられます。私はこれと同じ理由で、トライアスロンにおいても(上級者は別として)ピッチ走法の方が適していると個人的には考えています。
初心者は、負荷を下げるためにゆっくり走ろうとする際、ゆっくり走る=ゆっくり動く、という感覚のためか、ピッチを下げてしまうため相対的にストライド走法よりになってしまうことがあるようです。そうなってしまっていると感じたら、意図的にピッチを増やすようにしてみるとより楽に走れるかもしれないので、試してみていただきたいと思います。
ただし初心者はピッチ走法を試してみることをおすすめしたい。
かかと着地 or フラット着地
かかと着地は文字通りかかとから着地する走法の事です。日本人の多くは自然とこれで走っています。それに対してフラット着地は足裏全体で着地する走り方で、ミッドフットランなどとも言われます。
このほかつま先着地(フォアフットラン、またはベアフットラン)もありますが、これは日本人にとってはいささか極端な走り方に思えるのでここでは勝手に除外しています。
ではどちらが良いのか、という議論はまた個人差もあるので差し控えるとして、私個人の経験として、フラット着地に切り替えたことで、膝の外側の痛み(腸脛靱帯炎、別名ランナー膝)からほぼ解放されました。
一般的にかかと着地は、自然な蹴り出しができるので筋力の割にはスピードに乗れる一方、膝への衝撃が大きいとされています。逆にフラット着地では、前への推進力を得るためにはより脚の筋力が求められるものの、より着地時の接地面積が大きい分、衝撃を抑えられます。
ピッチorストライドに比べて、こちらのフォーム変更には練習が必要です。もちろん後からでも変えることは可能ですが、時間がかかるだけに、最初のうちから考えていった方が良いと思います。
フラット着地に切り替えることで膝への衝撃を軽減することができるかも。
持久力をつけるためにLSDトレーニングを取り入れる
トライアスリートを始め、長距離ランナーの多くが練習に取り入れているのがLSDです。LSDはLong Slow Distanceの略で、そのまま「長く、ゆっくり走る」というトレーニング方法です。
長く、ゆっくり、ということですがではどのくらいかというと、ざっくり距離は想定レースよりも長く、ペースはジョグよりもゆっくり、です。
例えばオリンピックディスタンスのラン10kmを想定するのであれば、15kmとか20kmとかを設定します。実際には距離とペースでラフに計算して、120分とか時間に換算して走った方が管理しやすいかと思います。ペースはキロ7分~8分と言われていますが、8分はさすがに走りにくくて個人的には7分くらいで走っています。
LSDの効果は、
- 遅筋を鍛えて、長距離を走る筋持久力が身につく
- 心肺機能や血液循環が改善し、有酸素運動能力が向上する
というものです。
LSDは、トライアスリートを目指すなら取り組んでおいて損はない思います。
スピードトレーニングなどに比べると苦しさもなく、楽にできるので、ジョギングである程度の時間が走れるようになった初心者の方にぜひおすすめしたいトレーニングです。
トラーアスリートを目指すなら練習に取り入れたい。
まとめ - トレーニングの基本は故障しないこと
トレーニングの目的は言わずもがな、競技能力を向上させることですが、その基本は故障しないことです。
無理をしたり、間違ったやり方や精神論で練習を重ねると、トラブルを招き、そもそも練習自体ができなくなります。
まとめると、トライアスリートを目指すラントレの初歩としては、以下のようなことをポイントとして挙げています。
・自分に合ったフォーム(ピッチorストライド、かかと着地orフラット着地)を身に付ける
・LSDトレーニングを取り入れる
より詳しい説明や、レースに向けたトレーニングなどはまた別記事で書きたいと思います。