バイク練習を始めて最初のころ。
自転車に乗ること自体が楽しくて、ロードバイクの速度で眺める景色が新鮮に映ったり。
漕げる距離も伸びてきたり、ペダリングが上達して速く走れるようになったりもしますよね。
ところがしばらくすると、それも頭打ちになってきたりすると思います。
いずれふと、一定速度で巡航できる速度がなかなか上がらなくなっていることに気づかされたりはしませんか?
平地で一定の時間キープできる速度のこと。
その向上はロードバイク、あるいはトライアスロンバイクに乗る者にとって永遠の課題である。
巡航速度が上がることはバイクの基礎能力の向上を意味し、サラリーマンで言えば基本給の昇給と同じことです。
超重要です。
週末のサイクリングロード。
うしろから近づいてきては、あっと言う間に追い抜いていく上級者たち。
そのうしろ姿を眺めて、こう思ったりしていませんか?
「いったいどうやったら巡航速度って上げられるんだ?」
これは自転車乗りの根源的な悩みですね。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、巡航速度を上げたい初・中級者向けに、見直してみるべきことや、練習に取り入れたいことなど、特に重要なポイントを5つ挙げてみました。
- 一時的になら時速35kmくらいでいけるけど5分くらいしかキープできない
- オリンピックディスタンスの40kmを平均時速30kmで走破できるようになりたい
といった方々の参考になればと思います。
ロードバイクの巡航速度向上策①-肘は意地でも伸ばさない
ライディング姿勢は巡航速度と非常に密接なかかわりがあります。
バイクにおける「正しい姿勢」」というのは、「長距離漕いでも疲れが出にくく、かつ効率的にペダルに動力を伝えられる姿勢」です。
主なチェックポイントとしては、
- 骨盤が前に倒れていないか?
- 肘が伸びきっていないか?
- 肩甲骨が閉じていないか?
などです。
このうち1つだけ常に意識しておきたいのが、「肘」です。
DHポジションではなく、ハンドルバーを握っているときの姿勢が前提ですが、肘は少しだけ曲がっている状態が正解です。
肘を曲げる方向は外側にではなく、下側にです。
効率的なペダリングをするためには、横から見たときにサドルの上で腰(骨盤)がまっすぐに立っていて、背骨は弓なりにカーブを描いているのが理想です。
左側面から見て、体がひらがなの「つ」のようになってイメージです。
特に疲れてくると肘がピンと伸びて、体重をハンドルにかけてしまいがちですが、それでは重心が前がかりになってしまい、力がうまくペダルに伝わりません。
意地でも肘を少し曲げておくことで、自然と背骨から骨盤にかけての「つ」の形が保てるようになります。
この姿勢を維持できるかどうかで、巡航速度はかなり変わってくるはずです。
ロードバイクの巡航速度向上策②-ヒルクライムを練習に取り入れる
早い話が、平地でのトレーニングだけではなく、山道などアップダウンのあるコースでのトレーニングもやりましょう、ということです。
巡航速度を上げるためにはやはり筋力アップは外せません。
平地でのトレーニングも良いですが、高いパワーを出せる速筋を鍛えるためには、上り坂でのトレーニングが有効です。
よく、上り坂を漕ぎ続けていると「乳酸がたまる」という言い方をします。
乳酸の蓄積と疲労との因果関係については諸説あるようですが、細かい話は抜きにして、上り坂などで高い負荷をかけ続けると、あるところで筋肉が急に「疲れやすく」なります。
この疲れやすくなるポイントのことをLT値などと言いますが、ヒルクライムなどで負荷を繰り返すことで、LT値を引き上げることができます。
LT値が向上することで、より強い力を長時間発揮し続けられるようになります。
ヒルクライムのようなきつい練習は個人的には嫌いで、極力避けて通っていました。
だからバイクが上達せず、今でもトライアスロンの3種目の中で一番の苦手種目です。
ファンライドだけでいいという人には特に必要ないと思いますが、巡航速度を上げるのにはやはり効果があります。
ロードバイクの巡航速度向上策③-ケイデンスを意識したペダリングをする
自転車におけるケイデンスとは、1分あたりのクランクの回転数(単位は[rpm])のことを指します。
サイクリングのアウトプットを計測する手段としてもっともポピュラーなのはスピードです。
スピードはいろいろな要素を総合して、「結果として自転車が時間あたりこれだけ前に進んでるよ」という結果を示します。
これに対してケイデンスは、実際にペダルを漕いでいる回数を計測しているので、より直接的に身体への負荷を表しています。
「ケイデンスを意識したペダリング」とは、ただ回転数を眺めていればいいのではなく、ケイデンスをある一定の範囲内に収めるように漕ぐことを意味しています。
ケイデンスを適切に管理することで、次のような効果が得られます。
・筋肉と心肺機能へかかる負担のバランスを最適化する
・筋肉への負荷を平滑化(一定に)すること
これらにより、トータルでみた巡航速度を向上させるのが狙いです。
また、あとにランニングが控えているトライアスロンの場合は、バイクで脚に疲労を溜めないことも重要です。
そのためにも軽めのギアで高ケイデンスを保っておくことはメリットがあります。
ケイデンスでの理想は90[rpm]以上と言われていますが、これはある上級者向けの数字と言っていいと思います。
逆に初心者が無理に90[rpm]以上回そうとするのは、効率を落としたり、怪我の原因になったりということもあるので注意が必要です。
ひとまず75~85[rpm]や、80~90[rpm]などを目安にし、様子を見て徐々に上げていくのが良いと思います。
ロードバイクの巡航速度向上策④-DHバーを付けてみる、あるいは外してみる
DHバー(エアロバー)を付けていない人は付けてみる、すでに使用している人はいったん外して練習してみてください。
どちらもそれぞれ違った効果が期待できます。
まずDHバーをこれまで使っていない人。
取り付けることで風の抵抗は圧倒的に減るので、それだけで純粋に巡航速度は上がります。
特にアマチュアのトライアスロンでは、他の競技者を風よけにして巡航する「ドラフティング」が原則禁止されているので、DHバーはマストアイテムのような扱いになっています。
次にDHバーをすでに使用している人。
DHポジションを取った時に、体重をDHバーに預けてしまっていないでしょうか?
基本的に、DHバーは休むためのものではありません。
「ちょっと休憩」みたいな形で使うことも全否定はできませんが、その場合、エアロ効果を得ることはできても、サイクリング効率としては下がっている可能性が高いです。
疲れたときに限らず、DHポジションを取ることでライディング姿勢が崩れてしまうと、マイナス効果になってしまいます。
一度DHバーを外してみることは、正しいライディング姿勢を取り戻すために「初心に戻る」という効果が期待できます。
あるいは逆にいったん外してみることで、初心に戻ってライディング姿勢を正してみる
ロードバイクの巡航速度向上策⑤-ペダリングは大きめの円を描くように
よく、ペダリングは「踏む」「引き上げる」ではなく、「回す」という意識が大事ということが言われます。
言うのは簡単ですが、感覚を身に付けるのは一朝一夕にはいきません。
イメージとしては、「実際のペダルの軌道よりもやや大きめの円軌道」をイメージして漕ぐと良いです。
どういう事かというと、自転車を漕ぐときペダルの芯は真円の軌道を描きますね。
その円よりも、一回り大きな円を描くつもりでペダリングをします。
「回す」というのは、言い換えると円周上のすべての点で推進力を与え続けることとも言えます。
もちろん、クランクの長さは決まっているので、ペダルよりも大きな軌道を描くことはできません。
イメージとして大きめの円を意識して回すことで、常にペダルに推進力を与え続けるペダリングのコツがつかみやすくなります。
ロードバイクの巡航速度向上策⑥-バイクのセッティングを見直す
バイクのセッティングは基本の「キ」でありながら、なかなか理想的な状態を作ること、あるいは維持することは難しいものですね。
購入当初は体の採寸もしてしっかり合わせてあっても、長年乗っているといつの間にかベストなセッティングと違ってしまっていることもあります。
例えば、
- 股間が痛いのでサドルの角度を少し前下がりにした
- ハンドルやステムを自分で交換した
- 腰痛を発症して前傾姿勢が厳しくなった
- 体型が変わった
など。
バイクのセッティングについては、まずは信頼できる自転車屋さんで見てもらうのが一番早いと思います。
自分の乗りやすい、漕ぎやすいという感覚だけで調整すると失敗することもあります。
ロードバイクの巡航速度向上策⑦-練習量を増やす
最後ですが、なんだかんだ言ってこれじゃないでしょうか。
たいがいの場合、苦手なものって誰だってやりたくないですから、練習量も不足しがちだったりします。
とはいっても普通、ロングライドができるのは週末などに限られてしまいますね。
室内でローラーを使ったトレーニングができる人は恵まれていますが、音も結構うるさいので、家族や近所の手前なかなか夜はできなかったりもします。
あとは通勤バイクでしょうか。
これも職場や生活環境によっては難しい人もいますね。
バイクの駐輪場所のセキュリティも気になります。
自転車に乗れなければジムでバイク強化の筋トレをする方法もあります。
レッグプレス、レッグカール、レッグエクステンションなど、足の表と裏の筋肉をバランスよく鍛えましょう。
初中級者向けに、バイクの巡航速度を上げるための7つのポイントを紹介しました。
いかがでしたか?
このうちいくつか、あるいは一つでも「お、やってみるか」と思っていただけたとしたら幸いです。
巡航速度向上という名のバイク能力のベア(ベースアップ)のために、見直すべきところは見直していきましょう。