ロードバイク乗りの多くが経験し、一度ハマるとなかなか抜け出せないのがこのサドル沼。
・股間の痛みやフィット感が一長一短で1つに決められない
・今使ってるのも悪くないんだけど、あれもこれも試してみたい
と、サドル沼の奥底にのめり込む様相は人それぞれです。
ではなぜ人はいとも簡単にサドル沼にはまり、抜け出せなくなるのでしょう?
そしてサドル沼に陥らないためにはどうしたらいいのでしょうか。
そのあたりについてこの記事で掘り下げいきたいと思います。
なぜロードバイク乗りはサドル沼に陥りやすいのか?
まず、バイクパーツの中で一番といってもいいくらい簡単に交換ができて、さらにそれほど高価でもないという事がサドルについて言えます。
さらに、ちょっとやそっとでは違いの実感できないパーツ軽量化などに比べて、ものによってはっきり使用感の違いが実感できるという事も言えると思います。
サドルを変えて明らかに快適性やペダリングが向上したりするので(もちろんその逆もあるにせよ)、交換による「やってやった感」が得やすいわけですね。
ただ、ロードバイク乗りがサドル沼に陥りやすいのにはほかにも理由があると思います。
個人的なことを言えば、通勤で使っているクロスバイクのサドルは、購入時についていたものから一回買い替えただけで簡単に落ち着いています。
使っているのはSELLE SMPのTRKで、このサドルが秀逸だという事もありますが、交換して以来一度も変えようと思ったことがありません。
それがロードになるとなかなか定まらなかったりするのは、やはりロードバイクにとってサドルというのがそれだけセンシティブなパーツであるということでしょう。
心地よければ良いというわけでも無く、ただ痛くなければいいというわけでも無く、ペダリング効率との両立が求められるのもロードの宿命です。
そして座った時の快適性とペダリングのしやすさは、どちらかというと相反するものなのです。
さらにもう一つ言えば、サドル界に魅力的な製品がたくさんあるというのもサドル沼の一因になっているでしょう。
各メーカーが独自の技術と設計で誘い掛けてくるので、消費者としてはついつい食いついてしまうのも致し方ないところではありますよね。
ロードバイクでサドル沼に陥らないための3つのポイント
ではそんなサドル沼にはまってしまわないためには、どういった点に気をつけていればいいのでしょうか?
新しいサドルを買ったらすぐには買い替えない
まず、新しいものを買って試してみて、すぐ別のが試してみたくなるのがサドルです。
初めて使ってみて、いきなり満点のサドルなんてものはそもそも無いと思っています。
必ずどこかには荷重がかかるわけで、そうすると必ずどこかは痛くなるものです。
ロードバイク乗りってわりとお金持ちが多いですから(自由になるお金がある程度ないとなかなか楽しめない)、サドルくらいはポチっと簡単に買えてしまう人が多いと思います。
でもそれがサドル沼の始まりなんですね。
「乗ってるうちに尻がサドルの形になる」とかよく言ったもので、実際尻がサドルの形になったりはしませんが、ある程度は体の方もカスタマイズされていくように思います。
痛みに慣れるというだけではなく、ポジションや漕ぎ方などが最適化されてくるという面もあります。
そうなりかけたところで買い替えてしまうのはとても勿体ないですね。
せっかく慣れかけたのに、替えたら替えたでまた別の問題は出てくるし、何が自分にとって最適なのかがまるで分からなくなってしまいます。
サドルで解決すべき問題を明確にする
またすべてをサドルで解決しようとしないことも重要だと思います。
サドルで絶対に解決すべき問題が、
- 尿道など軟部組織の痛みなのか
- 坐骨の痛みなのか
- 内腿が擦れることなのか
といったところをクリアにしておけばある程度タイプは絞れて、あまり横道にも逸れません。
あまり欲張って、痛みもなくてペダリングもスムースで見た目も良くて、などと言っていると本当に必要なものが見えなくなってしまいます。
これだけは絶対、という問題が解決できたのなら、とりあえずしばらくはそのサドルと付き合ってみるのがいいのではないかと思います。
ポジションを徹底的に検証する
サドルの前後ポジションの基準として有名なのが「KOPS」です。
KOPSとは“Knee over pedal spindle”の略ですが、直訳するとペダル軸の上に膝がくる位置という事になります。
もう少しKOPSをちゃんと説明すると、
のことになります。
これを確認するには自分でどう真上から見ようとしても難しくて、鏡に映しても数ミリのずれなんてわかりません。
細い紐におもり(5円玉とか)をつけて、膝の皿の裏辺りから垂らしてみるやり方が一番手軽で確実です。
とはいえ、KOPSが誰にでもベストフィットするというわけではなくて、ここを基準に前後にサドル位置を振ってみてちょうどいい位置を探すことになります。
サドルを変えようとする前に、ポジションを最適化することで解決できる問題もあるかもしれません。
トライアスロンサドルとロードサドル
今回はロードバイクのサドル沼というタイトルですが、トライアスロンバイクのサドルにだって同じようなことが言えます。
トライアスロンの場合はDHバーポジションを取ることが多くより前傾姿勢の時間が長いので、尿道の痛み防止に穴あきや溝がほぼマストです。
他にもトライアスロンモデルのサドルは、前後方向がフラットな形状だったり、ウェアのパッドが薄い分クッションが厚めだったりします。
トライアスロンサドルの詳しい情報は別記事で紹介しているのでよろしければどうぞ。
まとめ-サドル沼に陥らないために覚えておきたいこと
さて、ロード乗りの大敵「サドル沼」に陥らないための心得について今回は考えてみました。
- すぐに買い替えない
- 解決すべき問題を明確にする
- ポジションを徹底的に検証する
の3つが、サドル沼を避けるために重要なのではないかと考えます。
個人的にはひと昔前までSelle San MarcoのEraという穴あきでもないサドルでトライアスロンをやっていたものです。
もちろん今ではショートノーズの穴あきサドルですが、無ければ無いで、慣れてしまえば意外となんでもやって行けたりもします。
そのくらいの気持ちで、一度サドルを変えたらそれに尻の形を合わせるくらいの気持ちでしばらくは使ってみるのがいいのではないかと思います。