【ランニング練習マニュアル3】適切なペースと走行距離について

ランニングを続けていると湧いてくるさまざまな疑問、

  • トレーニングは毎日やった方がいいのか?
  • 自分の実力に合った練習ペースはどれくらいなのか?
  • 月あたりの適切な走行距離は?

といったものについて今回は整理してみたいと思います。

 

ランニングを始めたばかりの初心者も、マラソンやトライアスロンを続けている方々も、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

毎日走るのは体に良い? それとも良くない?

ランニングを毎日続けるのは逆に体に悪い、といったようなタイトルのウェブ記事を最近よく見かけます。

日常的な運動習慣が体に良いことは常識として広く認知されているので、このようなタイトルを見かけるとつい何事かと読んでみたくなってしまいます。そういった心理を利用して、記事の閲覧数を増やすための1つの手法なのでしょう。

記事の内容自体はさておき、毎日続けたら体に悪いという表現はやはりフェアではないと私なんかは思います。フィジカルにもメンタルにも、ランニングをすることでたくさんのメリットがあることは疑いようもないからです。

 

要は大切なのは、「疲労が回復を上回らないようにする」ということではないでしょうか。

ランニングは水泳やサイクリングなどと比べても身体的な負荷が以外にも高いエクササイズです。

毎日休まずくたくたになるまで走っていれば、疲労がたまって体調を崩したり、怪我をしたりしやすくなります。

 

疲れを次回のトレーニングに持ち越さないよう、基本的なことですが十分な栄養と睡眠をとったり、適宜走らない日も作ります。

ランニング練習の頻度は通常、週3回から5回が適切と言われます。

もっと体を動かしたいという方は、走らない日に水泳やサイクリングなどをクロストレーニングとして行うことをおすすめします。

私はトライアスロンをやっているので、走るのは主に平日夜の3回くらいで、あとはだいたい週1回の水泳、週末に自転車のロングライドといった組み合わせで回し、完全休養も週に1回は必ず取ります。

こうすることで疲労が回復を上回ることなく、気持ちよくトレーニングを続けられています。

 

「毎日走ること」自体が体に悪いわけではありません。

ランニングにはメリットがたくさんあって、習慣として続けるのは基本的には良いことなのです。

ランニングやジョギングのメリットをまとめた記事もあるので、よろしければどうぞ。

ランニング・ジョギングを習慣にするメリットー今だからこそ始めたい5つの理由 | triathlista

 

 

ランニングトレーニングにおけるペースの決め方について

次にランニング練習において、自分に合った適切なペースとは何か、についてです。

 

最大酸素摂取量の話

ランニングのペースを定量的に扱うために、よく使われるのはこの最大酸素摂取量という概念です。

インターバル走の記事でも書きましたが、最大酸素摂取量とは次のようなものです。

最大酸素摂取量とはVO2Maxとも呼ばれ、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量のことを表します。
これは「有酸素性能力」「有酸素性パワー」とも呼ばれていて、有酸素運動の能力を数値化した重要な要素になっています。
有酸素運動では筋肉が力を生み出すのに酸素を必要とするので、酸素をどれだけ効率的に取り込むことができるかが大事だという事ですね。

 

VO2Maxはそのランナーの有酸素運動能力を表すので、ランニングの最適ペースはこのVO2Maxを係数として利用することで(この数値に掛けたり割ったりして)算出できるというわけです。

 

VO2Maxの求め方は、

  1. ランニング中の呼気を分析して算出
  2. 12分間走で走った距離から算出
  3. 運動時の最大心拍数と平常時の心拍数から算出

などの方法があります。

しかし1は特別な機器が必要ですし、2も走った距離を正確に測定するのは意外と困難で、3は心拍計が無ければ計測ができません。

 

なので自力でVO2Maxを計算するのはなかなか難しいのですが、VO2Maxが分からなくても自分に合った練習ペースを知る方法があります。

それが次に紹介するジャック・ダニエルズさんのメソッドです。

 

 

ジャック・ダニエルズのランニングフォーミュラ

ジャック・ダニエルズ氏は、オリンピックの近代五種競技で2回メダルを獲得している元アスリートであり、現在は世界的な有名なコーチであり、運動科学者でもあります。

コーチとして多くのオリンピック選手を指導する一方、独自のトレーニング法についての著書も出版されていて、「ダニエルズのランニングフォーミュラ」日本でも多くのランナーのバイブルになっています。

 

ダニエルズ氏の考案した計算式は非公開ですが、下記サイトにアクセスして自分のレース結果を入力することで、次のことが分かります。

  • 各種トレーニング法で自分が走るべきペース
  • 異なる距離のランニング間でのタイム比較(例えば5キロを45分でゴールした場合、ハーフやフルに換算したタイムがどうなるかなど)

 

Jack Daniels’ VDOT Running Calculator | Run SMART Project

(外部サイト:Jack Daniels’ VDOT Running Calculator)

 

こちらもインターバル走の記事で少し触れたので一部は重複しますが、手順は以下のようになります。

  1. 上記サイトにアクセスする
  2. “Select Event Distance”で最近ゴールしたレースの距離を選択する(例:フルマラソンなら”Marathon”を選ぶ)
  3. “Time”にゴールタイムを、あるいは”Pace”にレース時のペースを入力する(例:4時間ジャストなら04(hh)/00(mm)/00(ss)を入力)
  4. “Calculate”をクリック

 

すると下の「Race Pace」「Training」「Equivalent」に結果が表示されます。

「Race Pace」・・・そのレースでのペース

「Training」・・・ジョグや長距離走、インターバル、レペティショントレーニングなど練習法別に、また走行距離別に練習ペースが表示される

「Equivalent」・・・別のカテゴリ(距離)のレースに換算した場合のタイム

 

練習ペースを知りたい場合は、Trainingのタブをみれば一目瞭然という事ですね。

 

ジャック・ダニエルズのトレーニング法について詳しく知りたい方はこちらの著書をどうぞ。

 

 

適切な月間走行距離は?

筋力や回復のスピードなどが異なるので、どれくらい走るのが適切かは一概には言えません。

前述の「疲労が回復を上回らないようにする」がここでも1つの目安となるため、前回のトレーニングのダメージが次回には回復しているようなサイクルでランニングを行うのが理想的です。

また目的によって、ダイエットや健康維持が目的であれば30分程度を週3~5回などで十分でしょうし、ハーフやフルマラソンなど目標が決まっていれば、それに見合った距離を走れるようにしておく必要があります。

 

とはいえ、世間のランナーの皆さんがどのくらい走っているのかというのも気になりますね。

それを数字で見るために、RUNNETを運営する株式会社アールビーズさんの「ランナー世論調査2017」の調査結果を紹介させていただきます。

  • 月間走行距離50~100kmの人がもっとも多く、全体の25%を超える
  • 次に多いのが100~150km、その次が50km未満と続く
  • 全体の80%は月間200km以下であり、それ以上走る人は少数派

参照:ランナー世論調査2017 結果発表 (runnet.jp)

 

月間100kmを走るには、2日に1度ランニングをしたとして1回6.7km程度という事になります。

あるいは週5日走るという人だと、1回4.7km走れば月間100kmになります。

どうでしょう?

1つの指標として参考となったでしょうか?

 

 

ランニングのペースと距離、走行距離について-まとめ

レースやトレーニングでのランニングペースというのは、主観的になりすぎず客観的に判断できるベースがあった方が良いと思います。

ランニング能力(レースでの実タイム)から適切な練習ペースが分かったらとても便利ではないでしょうか?

その方法として今回は、ジャック・ダニエルズ氏のランニングフォーミュラを紹介しました。

ジョグや長距離走、インターバルやレペ走など、練習方法に合わせてペースが確認できます。

 

走る距離や頻度については、月間100km前後という人が多いようです。

ただそれはあくまで多数派の話であって、各個人がどの程度走れば良いのかは、疲労が回復を上回らないようにという大原則に則ってランニングを続けるのが好ましいと思います。